出版社内容情報
「俗信は,たとえてみれば1本の葦である.折れた葦である.けれども,なおよく多くの哀れな足腰のたたぬ兄弟たちのたどたどしい歩みを支え助けている」.政治,私有財産,結婚,人命の尊重といった制度,風習の成立に,俗信が果たしてきた役割を厖大な民俗史的資料を駆使して究明する.フレイザー民俗学への最良の入門書.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
23
マオリ族などの諸部族が敵を殺したあとその血をすする慣習について、それによって敵と自分を一体にし、死者の呪いや復讐を防ぐためだとする。これを読んで思い出したのは福音書の最後の晩餐で、イエスは弟子たちにこれは私の血だから飲めという。イエスを殺したのはユダでもピラトでもなく我々一人一人であり、その血を飲むのは、イエスと一体となってイエスから赦してもらうためなのかもしれない。いまのミサでは葡萄酒を飲むが、もっと生々しいもののはずだし、なによりも我々自身がイエスを殺したのだということは忘れてはならない。 2020/09/11
いなお
1
インターネットってかんじの本だった。『金枝篇』の次に面白い。2015/01/07