出版社内容情報
イタリアの片田舎ネミ.その昔,聖なる森と呼ばれたこの景勝の地には一本の聖なる木があって,司祭職の地位は,その枝(「金枝」)を手にした男の間で争われた.フレイザーは,この風習の由来を説明しようと研究の筆を執る.この民俗学資料の宝庫『金枝篇』の第一歩は,こうしてしるされた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐倉
15
アドニスとアフロディテ、アッティスとキュベレー、デメテルとペルセポネのような豊穣神たちと民俗社会における農耕儀式の関連がメイン。神々の死と復活の神話は穀物の収穫(死)と芽吹き(復活)を描いたものであるとし、最後の狩り束に穀物の精霊が宿る信仰、穀物の化身として動物や人を見なし、時に供犠にする儀式の存在から神は穀物そのもの→動物→人という変化を遂げてきたのではないかとしていく。供犠となる動物は捧げられる神自身であり禁忌となった動物は有り余る聖性の故。そしてネミの森は馬が禁忌だった…というところで次巻へ。2024/02/28
ミュポトワ@猫mode
8
ようやく読み終えた金枝篇の3巻目。この巻は、植物のエジプトの神々のお話がメインですが、キリスト教とその他の土着の宗教の祭事の関係性も書いてあります。宗教というものがいかにして広がっていくかということの考察もあって、大変興味深い巻なのですが、非常に読みづらい!岩波文庫の金枝篇は全5巻なので、折り返し地点を通過したことになりますが、あまりに読みづらく頭が痛くなります(汗) 文字も小さく、嫌がらせのようにびっちり書いてあり、かつ読みづらい本ですが、ここまで来たら全部読みます! 4巻目も今月中に読めれば良いな~2018/06/13
有沢翔治@文芸同人誌配布中
7
金枝篇。ギリシア・ローマ神話、それとエジプト神話のオリシスなど、(多分)西洋人にとっては馴染み深いものがおおい。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51512978.html2020/05/16
藤月はな(灯れ松明の火)
3
各地方の神話の比較。アドーニスに代表される生と死の循環、豊穣など各地の特色によって多少、変えられていることがあるが根本は同じように思えます。2011/12/31
Kaname Funakoshi
2
穀物の神は秋に死に春に復活する。ディオニューソス然り、ペルセポネー然り、デーメーテール然り。神に神の名が付く前に穀物霊がどのように受肉した神から儀礼に進化していったのかを探る2023/05/21