出版社内容情報
イタリアの片田舎ネミ.その昔,聖なる森と呼ばれたこの景勝の地には一本の聖なる木があって,司祭職の地位は,その枝(「金枝」)を手にした男の間で争われた.フレイザーは,この風習の由来を説明しようと研究の筆を執る.この民俗学資料の宝庫『金枝篇』の第一歩は,こうしてしるされた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
14
冬休みに世界の呪術についての調査論の代表でもある「金枝篇」を読み通したくなり、借りました。ハンズオブグローリーや神に捧げる生贄の女性のこと、豊穣神話、アニミズム、トーテミズムなど学校の授業で学んだこと、本で得た知識などがふんだんに書かれていてワクワクします。共通点や相違なども考えてみて楽しくなります^^2011/12/22
佐倉
9
イタリアはネミの聖所にある聖なる木。その枝は誰も折ることが許されないが逃亡奴隷だけは例外であり、それによってネミの祭司”森の王”と対決する権利を得る。死によって継承される祭司、そしてなぜ聖木と枝というモチーフが採用されるのか。世界各地の呪術や祭祀の実例によって解き明かそうとしていく。この1巻目では前提として呪術の考え方とその実例を挙げていく、という感じ。「類似は類似を生み結果は原因に似る」とする類感呪術、「一度の接触は継続して作用し続ける」感染呪術という形で呪術を分けるのはここから始まっているらしい。2024/02/15
有沢翔治@文芸同人誌配布中
6
宿木信仰に始まり、類感呪術などが紹介されている。類似の風習を紹介し、王の役割などを浮き彫りにしていく。ファンタジー小説の参考に!http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51512978.html2020/05/10
ミュポトワ@猫mode
6
かなり古い本ですが、なかなか面白い本でした。これは、簡約本の翻訳ものですが、かなりの量の実例が載っていて面白かったです。研究本なので、もっと小難しい感じかと思いましたが、するすると読むことができました。おそらく、訳が旨いのだと思います。とはいえ、古い本なので、日本語も若干古い言い回しがあります。2巻目は来月読みたいと思います。2018/04/20
Kaname Funakoshi
3
民俗学の古典。呪術は類感呪術(似たものに対する行動は効果を持つ)と感染呪術(接触したものに対する行動は効果を持つ)に拠っていて、検証されていないだけで物事は因果で動くことが仮定されているという点で科学に似ている。その点で、呪術と宗教は離れているが、呪術の非科学性を追求すると宗教になる。それを山のような実例によって説明されている。5冊本の1巻目2023/04/14