岩波文庫
獄中からの手紙

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  • サイズ 文庫判/ページ数 138p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003414033
  • NDC分類 289
  • Cコード C0198

出版社内容情報

リープクネヒトの妻となったおさな友達あてに獄中のローザ(一八七〇‐一九一九)が書き送った二十二通の手紙.どの一通からも,逆境にあって少しも変わることのなかった自然や書物に対するみずみずしい感受性,いや何にもまして余りにも人間的であったこの女性革命家の,繊細にして心温かな人となりが伝わってくる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

374
かつて史上名高い、そして今や伝説上の2人の女性の革命闘士がいた。東(ポーランド、ドイツ)のローザ・ルクセンブルクと西(スペイン)のドロレス・イバルリ(ただし彼女はスペイン共産党の指導者であり、ローザとは思想信条を異にする)である。ローザの手紙の大半はウロンケとブレスラウの監獄で書かれたものであり、盟友の妻であり、親友のソーニャに宛てられたものである。最後の1葉は1918年10月18日。惨殺される3か月前であった。花を愛し、自然の美を愛し、音楽と文学とをこよなく愛したローザがここにいる。 2019/07/03

新地学@児童書病発動中

111
ドイツの女性革命家ローザ・ルクセンブルクが同志だったリープクネヒトの妻に獄中から送った手紙。革命家と書くといかめしい人物を想像してしまうが、ローザの手紙にはそんな箇所は微塵もない。人間的な優しさと思いやりにあふれ、詩的な輝きに満ちている。獄中と言う苦しい状況にあって、決して希望を捨てない姿勢は読み手を励ます。詩が好きな人だったようで、何度も詩の引用が出てくる。特にゲーテの詩が多い。詩の言葉は困難な状況にある時の魂を、力強く支えてくれるのだ。獄中にありながら、ローザが人間らしさを失わないのは(続きます)2018/01/10

nobi

64
どこか物々しい本のタイトルに反して、物柔らかな手紙。政治の世界ましてや革命運動などとは無縁の人が書いたかと思うような調子。手紙の相手は同志リープクネヒトの妻で幼馴染。彼もローザと同じ時期に収監された。その妻への気遣いが自然。少なくとも昼間は庭を散歩できた。植物をまた鳥や昆虫を慈しみ「動物の意思表示が多種多様」であると彼女は知っている。その観察眼も描写力も抜群。批評家の如く差し入れられた小説を批評し、思い出は小説のように語る。作曲家ヴォルフは友人で、普段ゲーテの詩句を口ずさむ。色彩豊かな世界が広がっている。2022/08/11

傘緑

27
「わたしがこうして書いている紙の上では、ふわふわした葉陰が明るい陽射しの環をちりばめて踊りたわむれていますし、わたしの顔や手には、しっとりと雨に濡れている木の葉から滴がときどきふりかかってきます…わたしはなんて幸福なんでしょう!」再々読。これが獄中から届いた手紙です。これは一篇の詩ではないか!瑞々しい感性と溌溂とした日々と生命への驚きと感謝の念…牢獄の絶望の中でも人間は尊厳を抱き続けられる。ベッケルの『緑の瞳・月影』や『夜のガスパール』などと並べて置くべき赤帯、どうしてこの本を白帯にしてしまったんだろう?2016/10/26

ロビン

19
ポーランド生まれのドイツ人で、両国で社会主義を主導し、ドイツ社会民主党の闘士として活動、党のWW1への戦争協力を批判しスパルタクス団を結成するも投獄され、1919年反動政府の要人に成りすましていたかつての同志によって暗殺されたローザ・ルクセンブルクの書簡。その経歴からイメージされるような女傑然とした女性では全くなく、瑞々しい詩的な、宗教的とさえ言っていいような蝶や花などの自然物に対する感受性とそれを表現する知性、人生に対する深く達観した態度、そして友への思いやりを持ち合わせた稀有の女性と思う。名著。2023/02/02

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