出版社内容情報
『資本蓄積論』の著者として,またドイツ共産党の創始者としてあまねく知られている革命家ローザ(一八七〇‐一九一九)がカウツキー夫妻にあてて書いた書簡の数かず.彼女の理論的・実践的活動の姿がその日常生活と織りなされるように書きとめられており,その細やかな感受性と火のような熱情が読む者にひしひしと伝わってくる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
34
除籍本。第一次世界大戦頃の時代背景。一番大事な点は、娑婆の世界としばしば連絡がとれて、友人たちとしょっちゅう接触していることです、それから―ものが賭けること!(116頁)。獄中で思う自由とは何か? シュモラー(傍点)の間抜け学者が、国民経済学は18Cにおける近代国家の財政的ならびに官僚的必要の結果発生した、といっている箇所が、見つかる(149頁)。ローザは絵をかくことにたいへんな熱意を持ち、いくつかの立派な油絵を制作していた(165頁 注3)。2015/12/09
ロビン
14
マルクス主義政治理論家であり革命家であったカール・カウツキーとその妻ルイーゼに宛てた書簡集。 政治上のやり取りも多く含まれているため、先にローザの略伝を読んでおいて正解であった。個人的な友人には寛容で温かいが、政治上の相手に対しては非妥協的で頑固であったり、論理的な議論をしたすぐ後に子どものようにはしゃぐなどローザの多面性を知ることができた。「下劣なことをする位なら死を選ぶ」強く深い高潔な覚悟と、生の喜びに敏感な詩的天分に裏打ちされた、朗らかな明るさに打たれる。師は「仏法の菩薩の境涯に通じる」と。2023/02/04
CCC
5
背景知らずに読むもんじゃないなあと思った。とはいえ昔の著作環境が伺える箇所など、面白いところもあった。付録のマティルデ・ヴルム宛の手紙なんかも、えげつなくて面白かった。丁寧な文調や親愛なるといった修辞では、最早誤魔化せないほど皮肉全開。しまいには相手を赤ちゃん扱いしていて笑った。2017/07/10