出版社内容情報
革命家トロツキイはまた,旺盛な読書家であり並はずれた文章家でもあった.本書は彼自身の編んだ唯一の文学論集.十月革命後の文学・芸術状況を扱った第一部と,革命前に書かれた論考を集めた第二部から成るが,同時代にあってロシア・ルネッサンスの全貌を的確に把えていたその慧眼は私たちを驚かせてやまない.
内容説明
「歴史的行為の舞台は果てしなく広大なものとなり、地球は腹立たしいまでに小さなものとなりつつある」第1次革命と戦争の間に書かれた諸論考を集めた第二部。「嵐と雷雨のなか」に幕を開けた20世紀にあって、西欧の芸術・文化生活にかんする考察を含め、ロシア・インテリゲンツィヤのイデオロギー的変質の方向を明らかにする。
目次
第2部 その前夜(第一次革命と戦争のはざま(一九〇八―一九一四年)(時間上に広〇八‐一九国;死とエロスについて;新年の芸術談義;折衷主義的サンチョ・パンサとその神秘主義的―太刀持ちドン・キホーテ ほか)
西欧とわれわれ―平行と接近(一九〇八‐一九一四年)(『ジンプリチシムス』;日蝕;フランク・ヴェーデキント;インテリゲンツィヤと社会主義 ほか))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫またぎ
8
長年タイトルは沁み込んでいたけれど、まさか評論集だったとは。背表紙を眺めるだけでも読書が持論の身としては二度目の出会いのようだ。2023/08/12
肉欲棒太郎
1
下巻は10月革命前の論考。上巻に比べると社会評論の割合が多い。「インテリゲンツィヤについて」「三段論法の蹂躙」「インテリゲンツィヤと社会主義」「西欧にて」等が良い。2015/09/17
工藤 杳
0
インテリゲンツィア批判とか、ドイツ芸術批判とか。2017/09/01
amanon
0
上巻がロシア革命以後に書かれたものだったのに対して、本書は革命以前に書かれた評論を収めた物。つまり、ある程度一般大衆を読み手に想定していたということだろうか、上巻に比べる、政治色も比較的希薄ということも手伝ってか、かなり読みやすいという印象を受けた。それはともかくとして、この良くも悪くも時代の空気が強く反映された書を現在読むということにどれだけの意味があるのか?ということがどうしても気になってしまう。ここでのトロツキーによる文学観がどれだけ今日的意味があるのか?それは今後の課題ということか?2010/11/17
親橋白金(実は加藤國康)
0
文学は元来ヒトの脳を活性化する「文楽」であることを痛感。2009/01/20