出版社内容情報
マルクスが自ら生涯の事業と呼んだ『資本論』.レーニンが“現世紀最大の政治経済学上の著作”と呼んだように,近代資本主義社会の経済的運動法則を徹底的に究明して,経済学を“革命”し,また人間社会に対する見解に完全な変革をもたらして,社会主義を科学的軌道に乗せた不朽の名著.ディーツ版による改訳.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
非日常口
13
地代と地価の関係性。差額地代Ⅰ(土地の性質的な優劣)とⅡ(再投資)の問題から絶対地代、そして土地すべてが利潤の源泉であろうという期待になり、土地すべて地代がいくら得られる”見込み”が想定されだす。そのとき、現実ではなく未来が換金できるという妄想が生まれる。可能性はリスクや夢という言葉に還元され、拒否できない将来からの収奪が始まる。少子高齢化が進む国で国債を増刷ことはどれだけの暴力なのか。言葉で出生率をいくら上げたとしても、それは実体がない。フィクションを現金化するペテンが横行する底流を知るための一冊。2014/12/24
中年サラリーマン
12
地代に関する話。特に目新しい感じはなくG-W-Gの応用って感じ。資本論も残すところあと一冊。ようやくここまできた。2014/03/24
またの名
11
徐々にアカい1巻から変化し表紙のマルクス緑化。労働者の搾取と金融的な資本の自己増殖を論じた次に扱うのは、働く人間ではなくセルフで勝手に価値を生んでくれる自然力。材木や石炭は金で買うけれど、水が蒸気になる際のエネルギーも自然力なのに金を払わない事実からして、自然力そのものは価値を持たず社会的諸関係のネットワークに取り込まれ諸関係を反映した価値が生じる。技術その他の状況が変われば儲かる土地と儲からない土地のステータスも変動すると論証し、結局そこでも剰余価値を搾取し加えて土地をも搾取し濫費する資本の無謀を指摘。2020/01/26
翔
8
そんなに厚くない(330ページくらい)し、趣旨としては「土地に関しても利用者は所有者である資本家に搾取されてる!」なので言いたいこと自体は分かるのだが、そこに至るまでの論理が難解というか、難解にされてるというか…本書を一度読んでから解説本などでざっくり理解してその上で現代においてはどうなのか、を学ぶのが効率良さそうな気がしている。(そもそも国も時代も違うし)2022/04/28
壱萬弐仟縁
4
地代論。地代は、土地所有者が年々地球の一片の賃貸から得る一定の貨幣額で、表示される(21ページ)。地球の一片、という意識は、資源としての土地という認識から訳されたのであろう。地球から借りているという意識があれば、濫用はでいないはずで、大事に使う意識が生まれる。一切の地代は、剰余価値であり、剰余労働の生産物である(39ページ)。この巻はかなり図表を用いた説明が多い。この巻では第2次産業の話も出てくる。そろそろこの著作に疲れてきた。古典を読むときに、この著作ほど難解なものはなかった。的場先生の参考書は不可欠。2012/12/05