出版社内容情報
マルクスが自ら生涯の事業と呼んだ『資本論』.レーニンが“現世紀最大の政治経済学上の著作”と呼んだように,近代資本主義社会の経済的運動法則を徹底的に究明して,経済学を“革命”し,また人間社会に対する見解に完全な変革をもたらして,社会主義を科学的軌道に乗せた不朽の名著.ディーツ版による改訳.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
非日常口
17
法人税の下落競争こそグローバル企業の誘致の鍵という宗教が流行っているように思う。確かに法人税を下げる事は税引き前利益から当期純利益へ移行し、そこから配当か内部留保という資本家の分配の問題になる。が、それは言い換えれば生産の問題ではなく、賃金の問題にはならない。NISAなどでいくら一部の人間を疑似的な資本家にしたところで消費増税のような国民全員を対象とする政策と比べれば一部と全部は格差の火種になるのではないか。三巻と一巻では、労働量を背後に考えた場合、論理整合性が取れないらしく、探しつつ読むが見つからない。2014/12/23
翔
14
ほぼ一日がかりで読了。式がそこそこの数出てくるのだが、読んでるうちにその式が出てきた経緯を忘れてしまったりとしていたため、ページを戻しては読み直し、みたいなことを繰り返していた。この6巻は物量として529ページあるのでわりと辛い。結局のところは剰余価値を中心に話が進んでいたように思うけど、長すぎて何か勘違いしてる可能性はある。合計9冊あるのでざっと目を通すことを何度か繰り返して理解する必要がありそうだけど、9冊を何度も繰り返して読める人は専門でやってる人くらいのものな気もする。解説本を読むほうが早そう。2022/04/10
中年サラリーマン
14
本巻は応用編。基本的な思想はやはり1,2巻に埋め込まれている。不変資本、可変資本、剰余価値そしてそこから生まれる剰余価値率と利潤率に注目。で、不変資本、可変資本の色々な条件での議論がこれでもかと続く。で、結論。それは利潤率が低下しても剰余価値率が増加するような条件が認められる。つまり大資本での剰余価値の追求!これが言いたいがためにえんえんと500ページ近く読まされる。この後、類似編ということで商人資本へと話が続く。いわゆる「搾取的」な香りも漂わせつつ、資本論もいよいよ終盤です。2014/02/13
またの名
9
どんなプライベート事情を資本家が持っていようと善意でも欲得でも商品がなんだろうと資本の運動にとってはどうでもいい、とバッサリ抽象して数々の法則を示す資本論。本巻で説く利潤率の傾向的低下法則は、社会の生産力が発達するにつれて増大する既に商品の中に蓄積された過去の死んだ労働の量に対し、そこに新たな価値を追加していく生きた労働の比率が必然的に減少して起きる。より生産的になるほど搾取率は上がっても利潤率の低下が進む資本主義では、それなのに欲望すらも無視して利潤追求それ自体が社会全体を規定し破滅へ駆り立てると説明。2019/09/12
ゆうきなかもと
6
資本主義を成立させているのは、機械やテクノロジーによる大規模生産なのだと思った。そして経済成長するのもそういう第2次産業がメインなのではないか。つまり、非正規雇用の個人的努力を搾取すだけのサービス産業には、経済成長を突き動かすだけの生産性は生まれ得ないし、まあ、端的に言って儲からないのではないかと思った。テクノロジーの進歩で効率化を図れる産業でなくては、資本主義社会を支えられないのだとすれば、まあ農業などの一次産業なんかも有望なんだと思う。しかし、「おもてなし」重視のサービス業なんかダメダメだろう。2023/03/08