出版社内容情報
マルクスが自ら生涯の事業と呼んだ『資本論』.レーニンが“現世紀最大の政治経済学上の著作”と呼んだように,近代資本主義社会の経済的運動法則を徹底的に究明して,経済学を“革命”し,また人間社会に対する見解に完全な変革をもたらして,社会主義を科学的軌道に乗せた不朽の名著.ディーツ版による改訳.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
非日常口
21
宇野の原理論を読んで大筋をおさえられているからか、エンゲルスの文体が個人的には読みやすく、1巻よりページがかなり軽く捲れた。逆に概括するところで振り落とされたアダム・スミスやディヴィッド・リカルドの批判の部分に時間をかける。宇野学派の「経済原論」数冊で循環論、不変資本・可変資本、固定資本・流動資本など基本的な言葉の意味を予めおさえ、随時参照して読むが、宇野が大きくマルクスの論理を組み替えた部分が実際どこだったのか、具体的にまだ指摘できない自分がいたので、資本論を通読したら「資本論研究」に移ろうと思う。2014/12/20
翔
12
まとめてるエンゲルス自身が、マルクスが本著で示した式がおかしいことを序文で示しているのでそのことを念頭に置いて読み進める必要がある(が、そこまで読み込める人はどれだけいるのだろうか)。ここまででも難しくなりつつあると感じていたものの、本書でより一層難しくなったように感じるのは分厚さ故だろうか。2022/04/08
またの名
11
「回転の計算でマルクスは混乱し、矛盾した数字が出た結果あまり重要でないことを不当に重視するに至ったっぽい」と戸惑いを記す編者エンゲルス。同じ物質でも、例えば家畜が運搬手段としては固定資本だが食用としては流動資本とも言える混乱に、経済学の父スミスが気づかず素材的性質を抽象できてないと書く随所で俺頭良いだろ感の凄い著者にして、このミス。G-W…P…W'-G'…等の定式で示される資本の運動にしても、一つの過程が同時に別々な側面を持つ諸様式として機能しつつ動的な総体を成している複雑さを捉えんがための苦闘が見える。2019/06/25
中年サラリーマン
10
新しい思想はない。それは全て前3巻に含まれており、本巻は各論を議論している。あとAスミスやリカードへの反論など。ただ、抑えておくべきは資本回転率だろうか?資本主義のキモは超効率化なのでやはりここに話は及ぶ。ただ、これを資本論で学ぶ必要はない。現代では分かりやすいビジネス会計書が溢れているだろうから。逆を言うといまでも通用する考え方であるということ。資本論は同じ現象を異なった角度で見つめており景色が変わる。資本論を読むことで視点を一つ増やすというのが賢い読み方だと思う。2014/01/13
ゆうきなかもと
9
資本家は、金を溜め込むというよりどんどん投資してしまう、せざるを得ないということがわかった。ある種経営指南的な側面も感じた。2022/08/27