出版社内容情報
『資本論』『共産党宣言』とならんでマルクスの代表的著作のひとつ.マルクスは序説でその方法論を組織的に述べ,本文では価値,貨幣に関する理論の歴史が,一種の経済学説を形づくりながら展開される.『資本論』読解の手引きとされているこの書は,訳者の共同研究によってここにはじめて文体の平明と用語の厳密を備えるに至った.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
柳田
13
途中で投げ出した。難解極まる。しかし多分不必要に難解なわけではなく、具体的なことを論じているからといって必ずしも読みやすくなる訳ではないことを学んだ。はたして『資本論』はもっと難しいのだろうか。マルクスくらい若いうちにきちんと読んでおきたいのだが、と思いつつ、こんなものをまともに読んでいる人って人文系の人でもどれくらいいるのだろうかと思う。解説書を読めばおおよそのアイデアは分かってしまうし、しかしそんなことを言い出したら研究者以外には古典を読む意味や必要はないということになってしまうが、あんまりない気も。2018/07/17
NICK
8
マルクス経済学の理論的端緒を成す本。古典派経済学のように「国家」といった形而上学的な主体からではなく、商品(物)という実在、また商品同士の関係という点から論を立てていく。そのせいもあってかやや難解。有名なW-G-Wの流通図式のあたりや交換されない限り価値のない一種の空虚としての貨幣というあたりは『資本論』のプロトタイプであることを感じさせる。興味深いのは畜蔵貨幣が資本主義の黎明に不可欠であり、そうした蓄財家をプロテスタントに例える部分。この点は奇しくもウェーバーと同じ結論に至っているようだが……2014/04/03
Z
6
通手段としての機能や退蔵手段としての貨幣を複眼的にみない以前の経済学説が批判されるのみで実質的な成果は乏しい。資本論やはり読まなきゃだめということがわかった。ああ聳え立つ山は高い。2018/03/22
Z
6
価を調整できない)とする。Mによる物価のコントロールを可能とする学説、フィッシャーあるいは新古典派、マネタリストの役割をこの時代に学説上で担っていたのがヒュームのちリカードである。ヒュームの思想は次に要約される。1物価は貨幣数量に規定される。2貨幣は一国の商品の価値基準3商品の増加はその価値の下落か貨幣の価値を増加させる。これが成立しないのは信用機構を発展させ、貨幣退蔵が起こるからである。がそのことの証明は利子論を扱う資本論の第3巻(三分冊の三巻)を読む必要があるが、ここでは貨幣の価値尺度としての機能と流2018/03/22
Z
6
資本論1巻より貨幣の説明が丁寧。ひとまず貨幣を紙でなく金とおく。金が商品と交換されるのは、リンゴとミカンの交換のように、リカードの比較優位で説明でき、分業による労働の生産性の向上をもたらし、その継続は労働時間によって落ち着く交換割合が定められる。以上は金のもつ、というより最終的に役割を独占する価値尺度としての機能である。金が貨幣として普及したとする。リンゴ=金xgミカン=金ygetc.こうして一般等価に照らして定められる商品の交換割合を価格という。金は重量として単位をもつ。加えて貨幣化されるとやがて秤量貨2018/03/22