出版社内容情報
北軽井沢での哲学講義をまとめた『哲学の根本問題』は、田辺哲学の全容を理解するための格好の入門書。『数理の歴史主義展開』は、田辺哲学の立場から数学基礎論に取組んだ数理哲学の集大成である。
内容説明
北軽井沢での講義をまとめた『哲学の根本問題』は、田辺哲学を理解するための格好の入門書。『数理の歴史主義展開』は、田辺自身が「私の哲学思想の総決算的告白」と述べた田辺哲学の集大成。数学基礎論が直面する難問に正面から取り組んだ試みである。
目次
哲学の根本問題(哲学概論の課題と限界;哲学諸部門の相互浸透と哲学史の発展;歴史の弁証法と科学哲学における無の自覚;マルクスの理論。唯物弁証法の限界。無即愛の三一的構造)
数理の歴史主義展開―数学基礎論覚書(数学基礎論・公理主義・証明論;公理主義に対する連続体、切断概念の困難;場所的直観説の不備、時空「世界」の歴史性;数学的直観の歴史主義的制約;歴史主義と数学の妥当性 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キョートマン
14
3度目の読了。ようやく輪郭がわかってきた。集合論から出てきた位相学が、理性的なものの見方をする世界を乗り越えるものであるという点は納得した。数学も社会の発展に対応して発展してきたということもその通りだと思う。ただ田辺はそれと現実社会の具体的な結びつきについては少ししか語っていない。そこをもう少し詳しく述べてほしい。2021/06/17
記憶喪失した男
11
「数理の歴史主義展開」では、数学にはあまり触れず、カントの二律背反の解決を試みる。2017/02/04
キョートマン
9
数学基礎論に対する田邊元の哲学的考察だけどムズすぎ。数学の知識があっても読み流しができない。ヘーゲル、カント、ハイデガー、西田幾多郎あたりは抑えないと読めないな。数学者でもデデキント、ヒルベルト、高木貞治の考え方を勉強しなきゃいけない。2021/02/10
キョートマン
8
2週目。一文ずつゆっくり行きつ戻りつしながら慎重に読んだ。お陰で八割くらいは理解できたように感じる。田辺は哲学史を勉強しろと言っていて、その過程に「精神現象学」とか「純粋理性批判」などが入っているけど、このペースだと10年くらいかかりそうなんですが、、、 とりあえずこの本はもう一周する。2021/04/13
兎乃
3
再読了。数理哲学とブラウワーの直観主義の関係について参照のために再読。ヒルベルトの公理主義に対する批判が主題ですが、私には充分に理解できないので、また機会をみて再読する。2012/02/13