出版社内容情報
現代ドイツ哲学界の第一人者マルチン・ハイデガーの主著.ギリシア以来のヨーロッパ哲学の高貴な宿題である存在一般の意味を,限りある個々の人間の根本構造の分析を通じて,時間の視界から決定しようと企てる.今世紀前半の哲学の大勢を制し,形而上学の復興,またそれ以後,実存哲学の発展に,大きな影響を与えた名著である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
28
あいまいさは、個々の現存在からはじめて呼びだされるのではない。ひとつの世界において 投げこまれた(傍点)被投的相互存在としての相互存在のうちに、すでにひそんでいる。公共的には、あいまいさは隠されている(97頁)。不安は、現存在の存在可能性として、不安において開示された現存在自身と一つになって、現存在の根源的な存在全体性の顕在化した把捉のための現象的な地盤を与える(110頁)。現存在の根本の構えの本質には、 不断の未完結(傍点)が存する(207頁)。2016/07/09
松浦弘明
4
人は必ず死ぬものと理解はしていても、その事実をとにかく遠ざけようとして、そうして人は自分がまさに死ぬものであるというそのことを全く感じなくなってしまう。そういう人間の生き方を鋭く洞察した書物。2014/11/07
ゆうき
3
世界・内・存在という現存在の中で「死」は私の現存在の終りとし、世界の終りとなる。覚悟性という現存在は他者ではなく自分自身の現存在の中で表象される。2012/02/05
R
1
人間にとって死は避けられない。死は人間という存在にとってなくてはならない。死が悲しいとか残念とかいう意味は置いておいて、人間の生きる意味は死を迎えるからこそ完成する。2022/12/03
くめZ
1
自分は日本人なので日本語が読める、と思っていたのが錯覚だったようだ。でもどこかに、読んでよかったと思える知的喜びがあることを信じて下巻へGO。2013/04/26