出版社内容情報
考える葦など魅惑的な数々のフレーズがちりばめられた謎に満ちた〈テクスト〉の真の姿を提示することを期した最新訳。(全三冊)
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
このパンセは大昔、関根秀雄訳で読んだ覚えがあります。たぶん抄訳なのでしょう。岩波文庫で3巻で出してくれているというので挑戦することにしました。内容的には宗教的なことについての箴言が多いのですが、そのほか歴史的なことについてもかなり書かれているので楽しめます。またこの本のいいところは1冊ごとに解説がついているようです。この巻にはパスカルの生涯が中心に書かれていて参考になります。2018/01/30
lily
51
徒然なるままの思考の端切れにこそ生きた血に触れてるような生温かさを感じる。Penséesこそが知の宇宙。いつだって思考はPenséesであるのだから。点と点が繋がった時に星座と認知するだけだ。信者でなくても眩しい光点の残像が刻印される。2019/07/15
おおた
22
「断想」というタイトル通り、宗教をはじめとした人のありようについて短文が並ぶ。分厚いけど読みやすいし、どこでやめても罪悪感がない。並び方によって解釈が変わるというが、わたしのような素人には500年も前に人生の虚しさ、矛盾、不可解さについて語られたことが、未だに有益であることにただ驚くしかない。他人への強制を悪とし、人は自分の弱さに謙虚であらねばならないと説く。猫やねずみの姿を見て理性の調子をおかしくする愛嬌もある。他宗教への不寛容な筆致には驚くが、当時の宗教のありようを考えればやむなし。2019/08/10
sheemer
15
パスカルのさまざまな思考メモを集めたようなもので、分類の仕方などいろいろバージョンがあるようだ。形態としては「レオナルド・ダ・ビンチの手記」に似ているかも知れない。パスカルは科学の徒でありキリスト教の使徒でもあるという不思議な人だ。モンテーニュの「エセー」を耽読したようだ。全体としてどんな人だったのかは、断片からは推定できない。自分としては、箴言集として読み進んだ感じだ。パラ読みながら続刊も読むと思う。こういうものを読むと「学びたい」という気持ちが強くなる。30%超を占める長大な伝記的解説つき。2023/12/06
ふぁるく
13
パンセは書物として世に出たものではなく、その準備のためのアイデアを、サイズもまちまちの紙に書き残した断片。ゆえに天才の頭の中のカルピスの原液をもろに味わえるのがこの本の魅力だろう。文章としても、短くて1行、長くても15ページかそこらなので、哲学書としてのハードルは低めになっていると思う。寝る前に1個読んでおく、みたいな感じで読み通した。歴史やドキュメンタリーに魅力を感じる方は、はしがきや凡例、巻末の解説から読んで、下巻のアンソロジーを読む流れがオススメ2023/10/15