岩波文庫
キケロー書簡集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 578,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003361177
  • NDC分類 131.8
  • Cコード C0110

内容説明

古代ローマの政治家・弁論家キケロー(前106‐前43)の書簡は、激動の時代に重要な役割を担った人物の証言として、計り知れない歴史的価値を持つ。「うちとけて、おかしみのある」調子で語られることもある書簡には、公刊を前提に書かれたものとはひと味違った、生身の人間キケローの多面的な姿があらわれている。112通を精選。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ロビン

19
古代ローマの弁論家・政治家のキケローが、親友アッティクスをはじめ妻や弟、またライバルであるカエサルや政敵であったアントニウスなどに宛てて書いた書簡を時系列順に編んだもの。資料的価値も高い書簡集だ。ポンペイウスと組んでいながら彼をよく思っていなかったり、時にはライバルのカエサルを持ち上げて赦免してもらったり、アントニウスと戦うためにしぶしぶオクタヴィアヌスと組んだりと政治的には共和制に殉じたカトーのような決然とした姿勢に欠けるものの、任地での清廉な統治ぶりや親友との絆、娘への深い情愛などいいところもある。2021/02/25

roughfractus02

8
「この手紙は自分で書いている」(A271)と記す著者は、書簡を他の者に書かせているだろう可能性や、出版人のアッティウスに宛てることで書簡が公開を前提に書かれている可能性を仄めかす。書簡を著者自身の心の表出と見なす近代以降の読者は、この書簡に共和政末期を生きた一人の人間の二枚舌を弄する狡賢い性格を読む。が、その文体に肯定と否定を鮮やかに切り替える弁論術とそれを駆使する弁論家の技量を読むことは稀だろう。刊行されたこれら書簡に、後世の文筆家たちは、混乱の世に生き延びるための様々な言葉の作法を参照し続けていた。2022/05/20

有沢翔治@文芸同人誌配布中

8
古代ローマの弁論家、政治家のキケロが家族、同僚などへ宛てた手紙を、時系列に沿って配列したもの。娘の死などキケロのプライベートはもちろん、カエサルへの接近、反乱、独裁制への失望、暗殺直後の混乱……  これらの出来事を中心に『内乱記』前後のローマ国内が窺い知れる。意外と小(心)モノ。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51510061.html2020/01/12

feodor

7
キケロの書簡集。カエサル-ポンペイウスの間に緊張が出てくるあたりで少しずつ時代が感じられ、ルビコン渡河があるあたりで緊張感がピークに達する感じ。カエサル暗殺後もブルトゥスたちと連絡もとっているし、まあ割と都合のよい動きをしているな、という感じはする。その一方で、時代から完全に引退しているアッティクスに対しては腹蔵ない感じで相談もして、手紙としては本当に内心の相談からさまざまな出版関係の相談まで種々。カエサル、ポンペイウス、ウァッロ、小カトーなど著名人との書簡も多くて、ローマ史を彷彿とさせるところはある。2011/08/30

DonaldTrump

5
カエサルや、ライバル政治家の、他者からの見え方や感じ方が読み取れて面白い。また、手紙だけあって、すごく心がこもっていて、読んでるとほのぼのとした気持になってくる。キケロー先生、用心深いし、したたかやけれども、かついい人でもあると思う。2010/05/10

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