岩波文庫
戊辰物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 291p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003343111
  • NDC分類 210.61
  • Cコード C0121

出版社内容情報

明治維新の動乱を経験した故老の回顧談により,当時の庶民感情,時代の気分が縦横自在に語られた生きた維新の側面史.戊辰戦争から六十年目の昭和三年正月,『東京日日新聞』に連載された表題作に,「五十年前」「維新前後」を加えた本書は,敗者の側から見た維新の記録としても貴重なもの.図版を多数収録. (解説 佐藤忠男)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

saga

40
『壬生義士伝』から新撰組と幕末・御維新をもっと知りたいと思った。本書はまだ戊辰の頃を実際に見聞きした人々を取材してまとめたもので、短文を連ねた構成は講談を聴いているような快さと面白さを感じる。江戸っ子が遠くの戦や彰義隊の戦いを他人事のように見ている様子は、戦争の装備が現代とは比べるべくもない小火器を中心としたもので、一般住民を巻き添えにしないものであることも幸いしたろう。解説にもあるとおり、将軍が君臨する国と天皇が統べる国の両方を受け入れてしまう日本人の不思議な柔軟性に苦笑してしまう。2017/04/04

forest rise field

15
明治維新から60年後に東京日日新聞(現在の毎日新聞)によって纏められた聞き書き。その当時は、江戸時代の生まれの方がまだ生きており、貴重な聞き取りといえる。元江戸町奉行与力の回想録なんか面白かった。幕末から明治維新10年間の時代の大きな転換期をどう過ごしていたのか?一般江戸庶民は江戸が官軍と戦争になるのをどこか覚めた目で見ていたり。チョンマゲが散切り頭になり、刀の時代が終わり、お殿様がいなくなり、江戸城から公方様(徳川将軍)がいなくなるなんて天地がひっくり返るような時代、俺も経験したかったなぁ!2019/06/28

壱萬弐仟縁

15
高村光雲の象牙彫りの様子も写真があり、木彫りと対峙する時代もわかる(169頁)。「新撰組の母体ともいうべき幕府新徴の浪士組が江戸を発して京都へ上ったのは、文久3年の2月8日、木曾路を通って、23日に京都郊外壬生へ着いて」(云々208頁)。福島の関所も越えていった時代があったということか。池田屋襲撃の生々しい描写もある(「維新前後」)。書けないほどの凄惨さ。2013/12/27

ダージリン

9
「戊辰物語」は明治維新から60年を経過した昭和3年の戊辰の年に、維新を経験した人達からの聞き書きを基に当時の状況をまとめたもので「東京日日新聞」に連載されたもの。新撰組や彰義隊などがメイントピック。「五十年前」も同様の企画だが、こちらは維新の頃の江戸の庶民の雰囲気が伝わってくる。嘉納治五郎、高村光雲、三代目柳家小さん、矢野龍渓、といった著名人、日本初の看護婦さん等、幅広い人達の語りは一風変わった維新期の姿を感じさせてくれる。2019/08/15

穀雨

8
昭和3年に、60年前の戊辰戦争を知る江戸の古老の話を新聞社がまとめたもの。そのほか、各界の著名人が明治初めを懐古した各2頁ほどの小話集も収録されており、個人的にはこちらのほうがおもしろかった。どのエピソードも実際の当事者の証言である以上、自然と迫力があり、小説とは違うおもしろさが味わえた。2023/04/04

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