出版社内容情報
イギリス初代駐日公使オールコックの滞日三年の記録.多難な幕末期の政治・外交をこれほど鋭く詳細に,かつ網羅的に記した書は他にない.のみならず日本の歴史に精通していた著者は,日本人の生活・社会・文化を驚くべき視野の広さで観察批判している.単なる研究資料でなく文明批評の書として読めば今日でも多くの示唆に富む.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツカモトカネユキ
3
1962年訳発刊。中巻より。米国を含む欧州と中国、日本の東洋との比較。過去から読み解く日本、日本人の成り立ちが語られます。当時の先進国と独自に発展した東洋の後進国との比較は、さもありなんと思いながら少し痛みを感じます。技術、知識と切り離された、文明とは何かを考えずにはいられません。現在でも、駐在日記、紀行文があるのは国際化が進んだ今でも不滅なところに相容れない何かを感じずにはいられませんでした。全体的に読み進めるのに苦戦しました。もう少し理解度を高めたいと思いました。2021/02/02
TSUYOSHI_K
1
英国初総領事オールコックの回顧録。この巻での私にとってのクライマックスは、将軍に謁見した日の記録である。なにかと日本人の不誠実さに辟易した記録が多い中でオールコックはこの日について「私は宮殿のなかで見たすべてのものの秩序と礼儀正しさに心を打たれたといいたい」と記している。読むと確かに「大河ドラマじゃない幕府の真の姿」が伝わってくる。今の日本人にとっても新鮮な感動がある。2018/04/15