出版社内容情報
「和漢洋にわたる象のように重い知識と,それに拮抗し得る鳥のように軽い精神をもちあわせている」と言われ,しばしば南方熊楠に比せられる金関丈夫(1897-1983).人類学・解剖学・民族学・考古学・言語学などにわたる該博な知識を駆使し,鋭い着眼で東西の説話や伝承を自在に比較考証する.学問をたのしむことを教えてくれる本.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シンドバッド
4
本書の『榻のはしがき』が私にとっては、非常に興味深い考察であった。「シジ」の意味することにこれまであまりこだわらず、読んでいた理解力の無さを痛感。 2016/07/28
韓信
2
日本・中国・東南アジアをはじめとする古今東西の説話文学の共通性や差異から、現地の習俗、人類学的知見も駆使して、その淵源や伝播過程を考証する博学すぎる論文集。テーマは多岐にわたるが、個人的に面白かったのは、インドに端を発する杜子春の系譜、日本や中国では蔑まれるが西洋では尊ばれる腋臭の文学、天皇の御前でオナニーをうたう藤原俊成らの日本のオナニー文学の系譜、解剖学に通じた著者ならではの纏足であそこの締まりがよくなる説、女装男子の纏足の事例など。中国では胡姫が台頭する唐代から腋臭の記録が増えるというのも興味深い。2020/09/06
はにゅ
0
河童を調査しているときに再読しました。世界中に残された牛・馬にまつわる伝説を紹介&考察なのです。編者は大林先生だし、こうかはばつぐんだ!2006/08/11
春風
0
円城塔『烏有此譚』のタイトルの元ネタ。日本、中国、西洋の文献から体臭文学やオナニー文学の歴史を真面目に考察している。博覧強記に圧倒される一冊。2010/03/20