出版社内容情報
本書は『戦没学生の遺書に見る 15年戦争』の表題で,1963年に刊行されたもの(のち『第二集 きけ わだつみのこえ』と改題).長く読み継がれることを願い,学徒出陣60周年を期して,新たに校訂し直した新版をおくる.
内容説明
在学中の学生が学業中断を強制され戦場に動員されたのは1943年12月、戦局が破滅的様相を色濃くし始めた時期であった。彼ら学徒兵が死と直面しつつ思索をかさねて遺した手記は、だれも消し去ることの出来ぬかけがえのない記録である。学徒出陣45周年を期に、一層多くの読者に読みつがれることを願って第二集をおくる。
目次
プロローグ 永遠の別離
1 大陸の戦野から
2 戦火は太平洋上へ
3 敗戦への道
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
11
1988年版を。京大生で20歳で戦死。優秀な人が若くして亡くなるのは社会損失。長谷川曾九三氏は私も住んだことのある上田にて手記を執筆した(14ページ)。木曽福島が彼の父が亡くなったというので(17ページ)、今度詳しい人に聞いてみたい。慶大法学部を出た宅嶋徳光氏は、「デモクラシーの基調をなす個人主義が、日本独自の過った見解において、利己主義や猛烈なエゴイズムと勘違いされてきたのは、あきらかに教育の責任」(35ページ)。生活は学問の為(松永茂雄)。「大学が万能だとは考えない」(西村秀八)。将来ある若者の無念。2013/02/27
Mr.deep
3
文才詩情のある方は前集に収録済みか文芸として読むには少しつらい出来に。その分、頭でっかちで自信家で中二な、どこにでもいるクソ生意気な若僧が修羅の巷に投げ込まれた悲劇に悲憤慷慨せざるを得ません。2022/11/08
双海(ふたみ)
3
第二集です・・・。2013/11/04
しゅうまい
2
全体として教養の高さを感じさせる滑らかな文章が多く、自分では書けないようなものと感じる。それと同時に、このような人達が亡くなっていった事実に胸を傷めてしまう。各々が悲観していたり、最終的な家族の無事を祈っていたりする様子が無力という2文字を強く感じさせられました。2019/10/27
山がち
2
第一集と比べると明らかに編集方針が変わっているのが分かって随分と戸惑った。第一集では従軍生活の悲惨さを通して戦争及びそれに巻き込まれる学生というものが浮き彫りになっていたが、こちらはそういった記述はずいぶんと少ない。やや多面的であり、またその一方で全体的に観念的なきらいがある。それは第一集と出版された時期が大きく異なるからであり、戦没学生の声に対する時代の要請の変化があったからだ。どちらにせよ、戦争に人生を狂わされた学生の姿がそこにあるのは間違いない。真剣に一人一人の言葉を受け止めなければならないと思う。2012/09/18