出版社内容情報
明治四年,岩倉使節団は新たな統一国家創出の意欲に燃えて米欧十二カ国歴訪の旅へ出る.建国百年のアメリカ,貿易・工業立国の「島国」英国,パリ・コンミュン一年後のパリ,ビスマルク治下プロイセン等.書記官として随行した久米の貪婪で精彩に富んだ筆は,議会から牢獄,黒人街,ジャーナリズム,手話点字,花街にまで及ぶ.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃん吉
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第3巻はフランス、ベルギー、オランダ、プロイセン編です。フランスでは、パリ・コミューンについて、「国内ニ一揆起リテ」と記され、使節の視点が興味深いところです。ベルギーではワーテルローも訪れます。プロイセンでは、ビスマルクのスピーチの詳細が記され、また、視察するうちに、「此国ノ政治、風俗ヲ講究スルハ、英仏ノ事情ヨリ、益ヲ得ルコト多カルヘシ」と評するようになり、明治政府のプロイセンを範とする政策の萌芽が垣間見えます。視察を終えた国が増えるにつれ、各国を比較分析する記述も全般に増え、興味深いものがあります。