出版社内容情報
西田 幾多郎[ニシダ キタロウ]
著・文・その他
内容説明
真の実在とは何か、善とは何か、いかに生きるべきか、真の宗教心とは―。主観と客観が分かたれる前の「純粋経験」を手がかりに、人間存在に関する根本の問いを考え抜いた西田幾多郎(1870‐1945)。東洋の伝統を踏まえ、西洋的思考の枠組そのものを問題にした本書は、百年後の今日まで日本の哲学の座標軸であり続ける。
目次
第1編 純粋経験(純粋経験;思惟 ほか)
第2編 実在(考究の出立点;意識現象が唯一の実在である ほか)
第3編 善(行為;意志の自由 ほか)
第4編 宗教(宗教的要求;宗教の本質 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
114
50年以上も前に背伸びして手に取ったことを思い出しました。当時は逐語訳をするような感じで読んだのですが、どこまで理解できたかは覚えていません。いま再読してみると内容的にはかなり難しい気がしました。「善」ということがどのようなことなのか、が中心なのですが、思惟、あるいは意識、それと実在との関係の方が理解しやすい気がしました。まだ半分も理解できていません。2022/12/18
koji
33
月に2回は金沢を訪れます。金沢駅の宇都宮書店さんに「石川県書籍コーナー」があり、そこで本書を手に取り冒頭1頁にグッときました。西田は石川県かほく市出身。四校教師をしていた時に本書の元を書いたそうです。私がグッときたのも金沢の何かが後押ししたのでしょう。西田流に言うと直感ですか。ただすぐの購入には躊躇いがあり1ヶ月経って名古屋で買いました(宇都宮書店さんご免なさい)。確り読みました。さまざまな思いが去来しました。感想は、尊敬ともどかしさと危うさ。そして令和の世に西田は何を思うかということ。私も考えていきます2019/05/06
Yuma Usui
32
特に最初の実在に関する記述が難しく読む気持ちが萎えかけたが、後半になるほどイメージしやすい論述で興味深い内容だった。とはいえ十分理解できたとは言えず何度か再読する必要がありそう。内容的には古今東西の哲学を網羅した上で、知覚、意思、意識、知識、善、情動、愛、神、宗教など多岐に渡り論述されており、ベースとなる知識があるほど楽しく読めると思う。2018/10/17
テトラ
29
4月からずっと大学で西田哲学に取り組んでいました。わかるようなわからないような。難解な文体だと聞いてはいましたが。純粋経験という考え方は好き。西田の哲学は悲哀から出発しているということを思う度、西洋哲学とは趣の違う西田哲学に魅せられていくのを感じます。正確に理解出来ているのかなんとも心許ないので、今後とも勉強し続けたいと思います。2016/06/26
佐島楓
28
知覚心理学、実在論、倫理学、宗教学を西洋哲学やさまざまな宗教の視点から引きつつ考察、善とは何かを真正面から書いている。難しい書物ではあるが、日本の哲学史を考える上で外せない一冊。テレビで取り上げられているのをきっかけに積読本から発掘し読了。2013/01/25