岩波文庫
基督信徒のなぐさめ (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 133p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003311912
  • NDC分類 198.99
  • Cコード C0123

出版社内容情報

明治二四年,折からの国粋的反動主義の世情の中で,教育勅語の拝礼を拒否して教職を追われた内村鑑三(一八六一‐一九三〇)は,困窮の中から処女作である本書を世におくった.逆境にあるキリスト者の見出すべき慰めは何かを問うた魂の自叙伝ともいうべきこの書によって,著者は無教会の立場を貫いた生涯の立場を決定した. (解説 鈴木俊郎)

内容説明

明治24年、折からの国粋的反動主義の世情の中で、教育勅語の礼拝を拒否して教職を追われた内村鑑三(1861‐1930)は、困窮の中から処女作である本書を世に送った。逆境にあるキリスト者の見出す慰めは何かと問うた魂の自叙伝ともいうべきこの書は、著者の無教会の立場の出発点となった。

目次

第1章 愛するものの失せし時
第2章 国人に捨てられし時
第3章 基督教会に捨てられし時
第4章 事業に失敗せし時
第5章 貧に迫りし時
第6章 不治の病に罹りし時

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

24
名詞には右線が引かれている。 一重と二重とある。 基督教の特徴として世の事業を重んずる のみならずこれを信ずるものをして 能く大事業家たるの聖望を起さしむ、 カーライル(右一重線付) のいわゆる Peasant-saint(農聖人)、手に鋤を 取りながら心に大宇宙を貯うる人、 これ基督の理想的人物にして、 基督彼自身もまた僻村 ナザレ(右二重線付)の一小工 なりし(58頁)。 2014/04/24

solaris

12
和文漢文を混合したような美しい文章。趣旨も自序と第一章の「愛するものの失せしとき」に全てが書かれていて、読みやすい。しかし、著者の意図はそこにない。「苦しめる基督信徒を代表し、身を不幸の極点に置き、基督教の原理を以て自らを慰めんこと」、自らの存在を越えるものに精神的支柱を求める。それを持ってる人は強い。「もし神なしとせば真理なし、真理なしとせば宇宙を支ゆる法則なし、法則なしとせば我も宇宙も存在すべきの理なし、ゆえに我自身の存在する限りは、この天この地の我目前に存する限りは、余は神なしと信ずる能わず」2016/02/21

まろにしも

11
★★★★愛する者の死、事業の失敗、貧乏に陥ったとき、重い病に罹ったとき、苦難と絶望の淵から、希望へと導かれたキリスト教信仰を告白。現代版のヨブ記。なかなか馴染めなかった文語調が読むにしたがって、ジワジワと味わいを深めてくれる。新約聖書を文語でも読んで見ることにした。2017/02/19

Amano Ryota

8
読んだ直後は、これは著者自身のために書かれた文章だと思っていた。国に捨てられ、愛する人を失い、信仰が揺らぎ、為すべき事を為せず、貧困と病苦に喘ぐ、そういう絶望的な状況で、止むに止まれず、生きるために絞り出さなければならなかった言葉が綴られているんだなと。ただ、これはそういう決死の独り言ではなくて、目には見えない何かとの真摯な対話なんではないかと思う。亡くなった奥様や、過去の偉人や、神や或いは悪魔や、そういうものの声を聞いて語りかける姿は、決して自分のためだけに本書が書かれたのではないことを伝えてくる。2014/10/30

エリック

3
ヨブ記を地で行くことになってしまった内村が、どのように無教会の発想に至ったかを苦況の各面から示す。無教会に日本人であることがどれほど関わっているのか知りたく手に取ったが、深い記述なし。「余は如何にして基督信徒となりし乎」を読んだほうが良さそう。また、時代が仏教にがっかりする頃合いだったのかもしれないけれども、諸宗派が自分を排除してくるのを嘆き寛容の重要性を訴えながらも仏教を頭ごなしに否定しているのはいただけないなぁ。鈴木大拙「神秘主義 キリスト教と仏教」を読みたくなる。2015/08/11

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