岩波文庫
ペトラルカ=ボッカッチョ往復書簡

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  • サイズ 文庫判/ページ数 382,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003271230
  • NDC分類 992
  • Cコード C0198

内容説明

桂冠詩人と『デカメロン』の著者。ルネサンス二大文豪の文通はイタリア都市国家時代の証言でもある。ユマニスムの創始者と偉大な弟子は書物愛に結ばれ、古典研究を築きあげた。晩年の手紙にはペトラルカの叡智が光り、稀有の友情が読みとれる。全書簡本邦初訳。

目次

最初の文通
都ローマから
母国フィレンツェからの誘い
友情の危機―詩人のミラノ居住をめぐって
古典の探索と収集
自著の交換
ダンテをめぐって
キケロからホメロスまで―文芸復興のために
中世文化の継承
精神的危機―ボッカッチョの苦悩と詩人の助言
ペストの猛威のなかで
自由をめぐって
牧歌的なひととき
共同戦線
最後の文通―文学的遺言状

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ロビン

19
14世紀イタリア最高の人文主義者であったペトラルカと、「デカメロン」で知られるボッカッチョによる往復書簡。二人とも世界史上にその名を残した人物だが、その二人の間には師弟関係ともいえる稀有な友情の絆があった。書簡は詩聖ダンテをめぐるものや、古典書籍の探索と収集などでいかにも人文主義者の情熱が表れている。「文学は、良き魂に受け取られると、美徳への愛をかきたて、そして死の恐怖をとりのぞき、あるいは減少させてくれます」と言い、老いてますます古典研究に勤しみ、死の時まで本を手にしていたペトラルカは読書家の鑑である。2021/01/22

はる

7
ペトラルカ11通とボッカッチョ5通の書簡から浮かび上がらせ、後にフマニタス運動(ユマニテ)と言われる文学研究litterarum studiaへの情熱と透徹な精神の交換に思い巡らせた。若かりし頃俗語散文に遊んだペトラルカが、何故それから離れラテン語散文の文学活動へ向かったのか、俗語散文のダンテに憧れたボッカッチョがヴェルギリウスの域に達しキケロに比肩する人と呼ぶペトラルカを生涯慕い続けたのか、よく分かる内容だった。2024/05/09

壱萬弐仟縁

7
幸福は年齢によってではなく魂の徳によって量られるべきで、めざすところに到達したらそこにとどまるべきです(52ページ)。フィレンツェ市民に訴える箇所からだが、魂の徳とは心得ておきたい。「人生の短さとみじめさ」の節(217ページ~)に注目。「あらゆる人間の生涯は短く、老人の余生はきわめて短いのです。(略)生れてきた順番をぶちこわし、あとからこの人生にはいってきた人たちが、さきに立ち去ります。この地上の生はまさに、けむり、影、夢、錯覚です」(217‐8ページ)。だからこそ、かけがえのなさがある。短命に掛る気概。2013/02/09

Francis

3
ペトラルカとボッカッチョと言う、ルネサンスの偉大なユマニストで友人同士だった2人の往復書簡。と言ってもペトラルカの方の書簡が多い。いずれの書簡からも2人の間の強い友情と、古典や文学に対する熱い情熱を感じることが出来る。訳はこれまたペトラルカ研究家の近藤恒一先生の名訳。近藤先生訳のペトラルカの文章を読むと、私も彼らのようなユマニストのように生きてみたくなる。2014/03/20

feodor

3
往復書簡、とはいいながらもペトラルカの書簡は自らの編集で結構残っているものの、ボッカッチョの書簡はあまりなくて、解説半分、書簡半分、というような感じ。編集物、としての価値が感じられる。 イタリアの当時の状況、なかでもミラノの台頭、アヴィニョンの教皇庁という問題、ダンテのとらえかた、中世のとらえかた…二人のルネサンス期の文豪の魂の交流がうまく再現されている。2010/05/09

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