岩波文庫
春の水

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  • サイズ 文庫判/ページ数 263p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003260807
  • NDC分類 983
  • Cコード C0197

出版社内容情報

南欧的なひたむきな激情を秘めた清純可憐なイタリア娘と,淫蕩な美貌の中年貴婦人との,双方の恋のとりことなり,自らも求めて女に生きようとし,雪どけの「春の水」のごとく,奔放な情熱に押し流されて空しく青春をほろぼしてゆく青年.これは作者の若き日の追憶の世界であり,上流社会を背景に青春の苦悩を如実に描いた異色作.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えりか

30
もう過ぎた恋を思い出す時、甘い心地になるとともに後悔や苦味も一緒に甦ってくるから、うかうか思い出に浸れない。まったく思いやりや責任とか一途というものは、熱烈な恋を前にすると、どうでもよいものになってしまうのだろうか。恋は身勝手。恋は苦悩。恋は勢い。恋は電光石火。恋は滅ぼす。恋は幸福。恋は不幸。恋は裏切り。恋は淡い。恋は苦い。恋は甘い。恋はあったかい。そして恋は儚い。とても儚い。それは、春の雪解け水のように、あっという間になくなってしまう。2016/04/03

きりぱい

10
なにが若き日の追憶で青春の苦悩よ!とむかっとくるのに、まあまあ面白いのが悔しい。ロシアへ帰る途中のフランクフルトで、これこそ生涯の女性という美女に出会ってしまったサーニン。とんとんとラッキーに転んで、いざ資産を整理と出かけたら・・まったく!このぶざまさは、ゴールズワージー『りんごの木』のアシャースト以下。悔恨するサーニンに対するヂェンマの返事には心が洗われる。それにしても、ヂェンマこそ最初は小悪魔に思えたのに、そんな美女でも太刀打ちできない魔性の女が出てくるとは。そしてどうするつもりなのか最後の一文が謎。2012/04/06

noémi

8
ツルゲーネフって外国暮らしが長いせいか、ロシアっぽく真面目じゃないのが非常によい。「父と子」でもそうだったけど一筋縄ではいかないなかなか食わせ物の美女が出てくる。初めは、はぁ~、すでにフィアンセのいる美女のために決闘ねぇ。アホじゃないの、この男と思わせておいて、それからその美女と急激にロマンスに陥り、アチラのご家庭にはつきものの結婚資金の多寡がどうのこうの、というシビアな話になる。ここまではなんか退屈という感じだが、突然ヘンな夫婦が登場する。そこから目が離せなくてラストまでまっしぐら。なかなか面白くて〇。2012/10/18

商業主義の地獄ゆき

3
決闘とかあのあたりがてんでどうでもいいような小さなことになってしまうのが笑えて面白い。はまってしまうなよ!と思っていて、やっぱりいつの間にかあっちにはまっている…。そして、そんな話にまんまとはまっている私。前半は退屈だったけど途中から面白くなるよ。2014/01/26

kozy758

2
恋の回顧。美しい女性と結婚までいくのかと、おもいきや…。人の心のうつろいがちょっと悲しい。自伝的作品とのこと。楽しい5日間の読書であった。2014/06/05

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