• ポイントキャンペーン

岩波文庫
モーパン嬢〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A6判/ページ数 330,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003257463
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

ぼくは男に恋してしまった!驚愕するダルベール。だが彼の愛人(ロゼット)も騎士テオドールの虜となり…二重の愛の綾取りを手紙や劇中劇で多彩に描く長篇は、芸術至上主義(ラール・プール・ラール)の原典としてボードレールやワイルドを熱狂させた。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

69
騎士テオドールに惹かれるダルベールの戸惑いや騎士に扮するモーパン嬢の男性への幻滅とロゼットとの愛が語られる。手紙ひとつとっても両者の温度差には滑稽味がある。主要人物が次々バイセクシャルに覚醒する奇抜な設定だが本作の眼目はそこではなく、三者三様な「美」の追求の仕方を描くことにあると感じた。どこまでも求めた挙句、それぞれが「愛」に対して諦めを告白するくだりは一つのクライマックスとも言えるだろう。最後までこの姿勢を崩さない点にある種の清々しさを覚えた。序文のみならず物語全体が著者の芸術への信仰告白なのである。2017/12/16

noémi

10
図書館で借りた下巻は新品のようにマッサラだった! 上巻、辟易するほど面白くないものねぇ。でも!モーパン嬢の真の面白さが解るのは下巻からです!みなさん、上巻で力尽きた人は下巻からお読みください。ベルばらの「オスカル」の原型を見たような。あるいは「とりかえばや物語」の原型かな? とにかくモーパン嬢の意表をつく洞察が素晴らしい。そしてなんて粋な終わり方。とにかく乙女が抱きがちの幼稚な「ロマネスク」な恋を嫌い抜いたモーパン嬢は、誰よりも美しく至高のロマネスクな恋を画策して、成就させた稀有な才能の持ち主なのです! 2011/12/25

もち

5
ダルベールはやはり受け付けないが、モーパン嬢の書簡はすばらしかった。おもしろいが、最後あたりは刺激が強かったようにも思う。私はこのラストは好きだな。予想していなかった結末だが、一番よいそれだったと思う。2015/10/24

ラウリスタ~

5
案外おとなしいやん。・・・と思っていた上巻は完全にフェイントだった。これほんとに19世紀前半!!?めっちゃくちゃやらしいんですけど。序文で道徳を振りかざす批評家はうんたらと攻撃していましたがそりゃ非難されるよ、この時代にこの内容は。ところでゴーチエさん芸術至上主義の元祖的存在らしい。たしかにあまりにも偏ったおもしろすぎる主張がすばらしい。それにしても1833年の時点でバイセクシュアルに目を向けるとはゴーチエただものじゃないな。フランス文学屈指の変な人です。2011/01/30

Fumoh

4
この作品は書簡体の形式に沿っているが、大半は作者の芸術論であると言える。「芸術」そのものへの憧憬は、パリの文化的生活の称揚へと繋がり、それが一つのナルシシズムを露呈しているのは、これを見たらすぐ分かるだろう。一種の神秘主義である。ゴーティエは主人公ダルベール、恋人ロゼット、また男装の麗人テオドール(=モーパン嬢)への秘密の恋という、三者間のやり取りの美麗さを描写していくが、先ほども言ったとおり、これはほとんど芸術論であり、また「詩」でもある。「美と恋」の本質を突き詰める作者の戦いでもある。楽しみ方としては2024/03/26

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/298720
  • ご注意事項