出版社内容情報
明るい南フランスのさる城主の若君が家老の養女に燃ゆる恋をしました.ところが,この乙女というのはもともとイスラム教徒から購い求められた卑しい奴隷の娘でしたので,とうてい若君のこの想いは叶うはずもありません.そこで若い2人は…….優雅な韻文と散文で交互に綴られた,フランス13世紀の美しい歌物語です.
内容説明
韻文と散文が交差する特異な形式をもつ「歌物語」。王子と女奴隷の可憐な恋が素朴な口調で語られる。十三世紀フランスの作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蛇の婿
9
芝居がかった訳で読んでいる間中頭の中に小さな弁士さんが登場していましたが、読了後訳者さんのあとがきで、これはそういう作品なのでわざとそういうものを意識したとの事。wwなるほどwただ、これおそらく日本だと浪曲師とか弁士さん、落語家さんの役目ですけれど、この当時のヨーロッパだと多分吟遊詩人の役目になるわけで、そうするとイメージがちょっと変わらないかい?wwそれとも当時の吟遊詩人も実はそんな感じだったりするのかなwとても楽しく読了。2014/08/28
ラウリスタ~
5
大学で原文を読んでいるんですが、まったくもってふざけた作品です。13世紀の作品ですが、ほんとに笑いが止まらない。まじめな恋物語の振りをしてよくよく読めば突っ込みどころ満載。そして、最後の訳者の後書きが秀逸。前任者のような美文を作れなかったが・・・などといいながら、本文はとんでもない擬古文調。いや、不思議な本。原文の摩訶不思議な魅力を上手く出した訳になっている。2011/06/20
b1992kudo
1
13世紀フランスの作品と思って読んでみたら、登場人物の一人称が「わらは」、「身共」とか日本の武家の物語かと錯覚するような翻訳。でもそこが面白い。韻文がちゃんと五・七の調子をもって訳されているのがすごく良い。2011/09/12
ツイ休み中
0
トリスタンとイゾルテよりはるかに読みにくい。これでもか、という試練を乗り越えて結ばれる、決闘も愛の前には厭わない。この遠さが中世ならではの魅力なのか。
miyuki
0
12月10日より。文体がたのしい物語。韻文が挿入されているのもそうだけれど、地の文や人々の台詞も躍動感がある、お芝居みたいな文体です。内容は深くはないけれども、いい内容です。深くはないけれども……。2015/12/12