岩波文庫
ベラミ〈上〉 (第21刷改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 295p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003255032
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

大学入試試験に失敗して兵役に服したジョルジュ・デュロワは,除隊後ふとしたきっかけで,兵隊仲間の成功者のフォレスチェに出会い,ジャーナリズムの世界に入る.天成の美貌を武器に,彼を「ベラミ」と呼ぶ女性たちの力を利用し,パリの新聞界に栄達を遂げる.この男のシニカルな行動を明晰な文体で描いた自然主義小説の典型.

内容説明

『女の一生』に続くモーパッサンの長篇第二作。ひたすら女から女へとわたり歩き栄達をめざす男のシニカルな行動を描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

309
スタンダールが貴族社会を背景に、ジュリアン・ソレルの野望とその挫折を描いたが、その半世紀後にモーパッサンはブルジョア社会で、その実験を試みた。ジョルジュ・デュロワは随分と俗っぽくなってはいるのだが、それもまた彼が地方の労働者階級の出自から這い上がり、ブルジョア社会の末端にいたる(上巻では)物語としては致し方ないところではあるだろう。また、ジョルジュはいささか勤勉さに欠け、もっぱら幸運によって階梯を駆け上がってゆくのだが、このあたりはマックス・ウェーバーの説く市民社会以前の物語であることをも示している。2016/07/31

遥かなる想い

206
「ベラミ」という名は「綺麗な小父さん」 くらいの意味らしい。 本書はパリを舞台にした小説である。 色事師デュロワの視点が屈折して面白い。 自分の美を意識しながら、女性に近づく 展開は三島由紀夫の物語に似ているが.. なぜかパリの夜の霧の雰囲気が感じられ、 ひどく映画的に読める。 美貌を利用して、夫人に近づき、のし上がって いく物語だが、デュロワにギラギラ感が なく、退廃的なのは時代の雰囲気なのだろう.. 下巻の展開が気になる終わり方だった。2016/08/06

syaori

37
舞台は19世紀末パリ。主人公は退役士官で美貌のジョルジュ・デュロワ。毎日の食費にも困るありさまだった時に士官時代の仲間フォレスチエと再会し、彼の伝手で新聞業界に入るところから物語が始まります。彼は美貌と機転を武器にのし上がっていくのだと思うのですが、上巻では自分に気がある商売女にも声を掛けられなかったり、馴染みの娼婦と情人の奥様がかち合ったときに上手く立ち回れなかったりと、少し心配になるところも。ただ、彼が自分の幸運と美貌を信じ、若さに溢れ人生を謳歌していることは確か。これから彼はどうなるのでしょう? 2017/03/07

ROOM 237

12
容姿だけが取り柄の素寒貧イケメンジゴロが、口八丁手八丁でご令嬢やら人妻の間をシルブプレ?もう一丁シルブプレ?とヒラヒラ舞い成り上がっていくという、まぁドロドロ昼ドラです。エミールゾラ先輩の影響が伺える自然主義って何でこんな面白いの。私はイケメンは胡散臭いと思っているので(個人の感想です)、これ読んでるとお金持ちだけど日々退屈してる女は悪い男を囲いたくなるもんなの?などと思案したり。かーっ!しかしおま、舌の根も渇かないうちにまた乗り替えるんかい!そんなツッコミどころ満載のジゴロの行く末や如何に、下巻へ。2022/11/20

しょう

10
【ガーディアン必読小説87冊目読了】生活が苦しく、困窮していたデュロアだが、新聞社に何とか潜り込み、自らの美貌を武器にして次々に上流階級夫人に取り入っている。金にだらしなかったり、平気で悪態をつくあたり、どうしても典型的な「嫌な奴」として捉えてしまう。 【上】ではシャルルが他界し寡婦となったマドレーヌだが、【下】ではどういったことになるのか。2020/02/10

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