出版社内容情報
本書は女性の手で書かれた最初の女性解放の書である.女の恋が男の支配する社会にふみにじられる悲劇を描き,28歳の無名の女流作家を一躍全欧的に有名にし,トルストイを感動させた,人間的な深さと芸術的香気の高い作品である.加うるにロマン派全盛の時代はサンド(1804‐1876)をしてまず波瀾小説的な場面にその人間探究の筆を進めさせた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
23
脾臓の意の英語で、フランス語では憂愁の意味に転じた spleen という、おそらく当時の新語が出てきて、たしかに南国の島での幼年期のあと霧深い陰鬱な欧州に移ればそんな気分にもなろうが、主人公の憂鬱はそればかりでなく、高圧的で嫉妬深い年の離れた夫、言葉は巧みだが平気で二股かけるレイモンなどに翻弄される奴隷状態のゆえだった。誰からも指図されずに自由に生きようとする強い意志が、世間の批判を承知で、命がけで夫を捨てて出奔する決断を生む。つかず離れず彼女を見守る幼馴染のラルフが辛抱強く支えてくれたからなのだけれど。2023/03/12
ヤクーツクのハチコ
2
自分自身も騙して「情熱的な恋」の幻想にしがみつかなきゃ生きていけなかったのねこのヒロイン、ということがわかった下巻。この内容で結婚制度反対として物議をかもしたというのがよくわからない。フランスって色恋不倫は肯定してるというけれど、不倫にも決まりがあるのかね2014/10/11
浮草堂美奈
1
図書館本。え……? これはメリバ……? いや……? サー・ラルフ超業が深え……。七歳の幼女の成長後を想像して恋愛……その後彼女に尽くしきる……。コア深え……。2016/10/18