出版社内容情報
作者がゴーチエに書いたように,「農民」の最初の意図は「片田舎の奥で大地主と貧民との間に交される闘争の描写」にあったが,完成の暁にはこのテーマはさらに拡大され,地方の小都会に巣喰うプチ・ブルジョワの田園侵入にまで進展していた.当時の社会不安を冷酷に分析し,その結果まで予測している異色ある作品.
内容説明
「かた田舎の奥で、大地主と貧しい農民との間で交わされる闘争の描写」から、新興勢力である都市市民階級による田園侵入と支配が最も主要なテーマとなる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
7
ハンスカ夫人の希望によって書かれたが、バルザックを長いこと苦しめ未完に終わった作らしい。現在出版されてるのは、死後に夫人によって加筆・編集されてる。未完だからか話の筋よりは登場人物の描写で終わってしまったところがあるが、この描写が貴重。タルチュフがたくさん出てくる。題名は『農民』で貧者と地主の対立を描くはずだったが、書いてるうちに田舎の支配階級として台頭したブルジョワとその配下のプチブルたちが主題になったらしい。彼らが貴族を追い出し美しい農園を分割して終わるが、そこに民主化された国の暗い未来が暗示されてる2024/04/25