出版社内容情報
フランス最初の近代詩人ヴィヨン(一四三一/二―六三以後).百年戦争の混乱の中に生まれ,パリ大学を卒業,殺人,盗み,放浪の生活を送り,その間幾度か王侯宮廷の詩宴に列し,幾度か牢獄に繋がれ,ついに死刑の宣告を受け,のち赦されて行方不明となった.その詩は奔放な情熱と自由を漲らせ,五百年後の今日なお読者を感動にひたらせる.
内容説明
フランス最初の近代詩人ヴィヨン(1431/2‐63以後)。百年戦争の混乱の中に生まれ、パリ大学を卒業、殺人、盗み、放浪の生活を送り、その間幾度か王侯宮廷の詩宴に列し、幾度か牢獄に繋がれ、ついに死刑の宣告を受け、のち赦されて行方不明となった―。しかも、その詩は奔放な情熱と自由を漲らせ、五百年後の今日、なお読者を感動にひたらせる。
目次
フランソア・ヴィヨン形見の歌(一‐四十)
ヴィヨン遺言詩集(一‐四十一;疇昔の美姫の賦;疇昔の王侯貴人の賦 ほか)
雑詩篇(勸告のバラッド;諺のバラッド;零細卑近事のバラッド ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
多田幾多
23
延々と続く壮大な「遺言詩集」。なんと野蛮で下劣で、生命にみなぎる力強い詩集なんだろう。太宰治が好きになるのも、分かる気がする。読んでいても、作者を掴む事も、相手を煙に巻かれて、真実の姿があまり見えない。なんという事だ。でも、誰よりも命を大切にしようと思っていた人であるのは解る。2013/11/18
風に吹かれて
19
ヴィヨンは15世紀フランスの詩人。ならず者や売春婦を仲間とし、窃盗団の一員であったこともあるという。強盗・傷害事件で投獄生活を送ったこともあるようだ。ヴィヨンはそのような生活にあったらしいということをウィキペディアで知る。もっとも、ヴィヨンの詩を読むと、その生活ぶりは推測できる。本書は、『形見の歌』、『遺言詩集』などを収める。 →2023/07/18
Christena
7
フランソワ・ヴィヨンの詩は、解説を読みながらのほうが面白い。というか、解説を読まないと、素人には何のことだか分からない(笑)。この本は巻末の解説が詳しく書かれていて、当時のパリの生活や風習が垣間見られるところも良かった。2015/04/25
mstr_kk
5
とてもすべての訳注を読むことはできませんでした。すごい情報量です。 詩は、キャッチーな箇所もあれば、散文的な内容にとどまっているように見えるところもあり。 しかし、「遺言という形で詩を発表する」というやり方自体が、たいへんワクワクするものでした。 詩とは何か、という問いに対して、大きなヒントをもらった気がします。 「地の文」的な詩句の中から、音楽的なバラッドが突き出してくるのが面白く、ミュージカルをみているようでした。あるいはブレヒトの『三文オペラ』。2014/05/17
よしむら まどか
4
牛乳の中にいる蠅、その白と黒の境界線はわかる。天気が良いか悪いかもわかる。林檎の木を見ればどんな林檎だかわかる。はたらきものか怠け者かもわかる。何だってわかる。自分のこと以外なら。2013/08/12