岩波文庫<br> 黒い蜘蛛

岩波文庫
黒い蜘蛛

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  • サイズ 文庫判/ページ数 185p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003246412
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

初孫の洗礼の日,招待客から家の柱に汚い黒い木が使ってある理由を問われた祖父は,ここだけの話といって,奇想天外な物語をかたりはじめる.スイスのエンメンタール地方に伝わる民話を素材に人間の邪悪を蜘蛛に象徴させて描いた中篇小説(一八四二).作者(一七九七―一八五四)は,ケラー,マイアーとならびスイスを代表する国民作家.挿絵多数

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

113
ゴットヘルフという人はスイス人なのですね。ドイツ人とばかり思っていました。民話をもとにした話ということですが子供用というよりもアダルト文学的な要素が強い気がしました。蜘蛛が何か悪意の象徴のような感じであまり実在するような気はしません。このような民話があるとは知りませんでした。ドイツ語で読むにはちょうどいい長さかもしれません。そのうち挑戦してみたい気がします。2016/04/21

新地学@児童書病発動中

113
邪悪な蜘蛛と人間の戦いを描いたスイスの小説。宗教的な要素の強い寓話だが、ホラー小説としても楽しめる。非情な城主の要求に応えるために気の強い女性が悪魔と取引をしてしまう。その女性の顔から無数の蜘蛛が生み出されて、村に散らばっていく場面は、シュールで悪夢のような迫力があって、読んでいると体の芯がざわざわした。作者はスイスの国民的な作家で牧師だったそうだ。人間の中にある悪の要素に、向き合える感性の持ち主だったのではないかと思う。2016/02/14

YO)))

34
冒頭数十ページは牧歌的な洗礼式の描写で,少々かったるいのだが,そこから怒濤のホラー的展開(悪魔と黒い蜘蛛の齎すノンストップな恐怖!).で,読み終えて改めて振り返ってみると,最初の場面への印象がガラリと変わっていて,平和の有り難さや敬虔であることの大切さが,とてもしみじみ感じられるのでありました.2015/06/30

魚京童!

26
「世界文学中ほとんど比肩するものもない作品」by トーマス・マン だって!トーマスとまた繋がった!人間は弱いのだ。自然と差別している。意識しないと流される。だから正しい流れに乗らなきゃ。そして方向をしっかり見ないと。象に乗って大海を泳ぐ気分だな。これって私の意思決定の意味はあるのかって思ってしまうけど。絶望だな。だから人間弱いのだろう。2017/04/14

藤月はな(灯れ松明の火)

14
人間の身勝手さ、責任転嫁、狡猾さ、保身、慢心、自分勝手な面などを黒い蜘蛛に象徴した作品。聖職者による悪魔祓いと悪魔に見初められ、悪の象徴となった黒い蜘蛛(女)の死闘が印象的でした。この本が説きたかったのは信仰し、平和であろうとすることによってもたらされる限りなき恩恵と堕落し、自己だけ満足であればいいという人間に訪れる最悪の不幸ではないでしょうか。この本を読んで自分の生き方を振り返ってみるといいかもしれません。2011/11/25

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