岩波文庫<br> 漂泊の魂 - クヌルプ (改版)

岩波文庫
漂泊の魂 - クヌルプ (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 129p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003243541
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

珠玉のようなという言葉はまさにこの小説のためにあるのであろう.初恋に破れて生涯を漂泊の旅にさすらい,いまクヌルプは病み衰えた身を故郷へ運んできた.孤独の自由を守り,ついに白雪の野に倒れながらも神との問答を重ねるクヌルプに,やがて運命との大いなる和解の時が訪れる.詩人ヘッセの孤高な魂の結晶.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

29
世界を彷徨い歩くクヌルプ。漂泊の魂。彼はこの生き方しか出来なかった。他のどんな在り方を選択したとしてもそれはクヌルプではなかった。そしてこの生き方こそが、その果てに迎えた最期こそが、彼が生涯をかけて到達した自らだけの姿だった。神はいう。クヌルプの人生に意味はなかったのかもしれない。ただ、彼が彼の在り方を貫き、彼自身に到達し、そう在り続けたことこそ尊い。悩み苦しむ若者たちに読んで欲しい。自分だけの人生の形を創り上げろ。それが馬鹿らしくても、つまらなくても、不毛でも、あなたが創り上げたということに価値がある。2019/03/12

Pustota

10
自由な生き方の代償として、孤独感に苛まれる根無し草クヌルプ。洒落者で女性にも愛される彼の生き方は、生活の中で擦れた人たちと比べて羨むべきもののように初めは思えるが、次第にそのようにしか生きられなかった彼の淋しさが見えてくる。これでよかったのかという迷いと、自ら見出した生の意味、そして肯定。きっとこの小説は、いつの日か思い出して再び手に取るときがくるのだろう。自分がどんな人生を歩むにしても、内なる声に疑問符を突きつけられる日が来るのだろうから。そのときはきっと、クヌルプが救ってくれる。2020/10/14

やまひろ

4
初恋の相手に裏切られたことをきっかけに漂泊の人生を歩むようになったクヌルプのお話。久々に読んだが、ヘッセの文章はとても綺麗だなと改めて思った。初読はもう数年前になるが…当時クヌルプと同じような悩みを抱えていた僕にとって、この本はまさに"救いの一冊"だった。そんな経緯もあり、なんとなく神格化していた本だけど、今回改めて読んでみて「もう自分には必要なくなったな」と率直に思った。色んな意味において、自分というものをちゃんと見つめられるようになったのかなと感じた。そういう気付きを本から得られるのも面白いなあ。2020/12/10

やまひろ

3
大学生の今、この本を読めて良かった。人の心の在り方なんて、他人から見れば本当に小さく見えるような些細な事によってですら不可逆的に変わってしまうし、永遠なんて無く、それこそこの物語でいうところの’花火’なんだと思う。ところで解説に「運命と心情とは同義語であった」とあるが、そう思える日が果たして自分に来るだろうか。少なくとも今はそんな達観した気持ちにはなれないのだが...。2019/12/16

クッシー

2
別の訳で読んでみた。孤独な魂を描いたヘッセの話にうんうんと納得する。どうして彼はいつの世も変わらない人の心をこうも正確に表現できるのだろうか。印象に残った文章「人が自分の幸福や美徳を誇ったりひけらかしたりしても、それはなんの役にも立つものではない。(略)他人の愚かさをそばから見ていて、それを笑ったり、同情したりすることはできよう。が結局は、彼らをしておのおのの道を歩ましめるほかはないのである。」2022/03/10

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