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岩波文庫
ブラック・ボーイ―ある幼少期の記録〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 280,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003232828
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

たまたま黒い皮膚をもって生まれたという,ただそれだけの理由で,何が故に彼らは言語に絶する貧困と人種差別の痛苦を受けなければならないのか.宿命を負った著者の,忠実な自伝的小説である本書には,いわゆる「黒人問題」の社会的論議はない.むしろ抒情的ともいえる筆致で,読む人すべての胸に訴えつづけてやまない.

内容説明

南部の親戚を転々とし日銭を稼ぐなか九年級卒業が近づく。少年は総代になるが、校長の草稿を拒否し自分の演説で押し通す。何を書くか、いかに書くか。白人の図書カードで借りた批評家メンケンの本に文学の可能性を見た、19歳の決断―北部への脱出。シカゴ行き列車に、自由を賭けて。自伝小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

goro@80.7

17
幼少期からシカゴへ旅立つ19歳までの記録。ブラックボーイは白人も黒人も嫌いだったんだろうな。人種そのもので差別される事も大きな問題であるけど自分を知ってもらえないという飢餓感が随所に表れる。図書館への出入りも禁じられていたんだね。南部だからなのか?それと文章では黒、黒んぼ、黒助と訳されているけど、原文はニガーだけなんでしょうか?ふと疑問に思ったわ。それにしても自己の感情をこれだけ書き尽くせるものだと驚き、また晩年は「HAIKU」にも関心をもち本を出してるんだね。一度読んでみたいね。2015/08/11

壱萬弐仟縁

7
巻末地図によると、主人公はミシシッピ川沿川に住んだようだ(282-3ページ)。「いまや、ぼくの生活は、仕事が見つかるかいなかにかかっていたので、しきりにあせっていたぼくは、最初に話のあった話にいきなりとびついた」(49ページ)。そうした切迫した状況では人間、ハローワークでもそうなってしまうのだろうな。他人事ではない。黒んぼという表記や謂いも評者の亡くなった祖母も言っていたな。耳学問の人で小学校もろくに出ていない時代だったから。生きてれば104歳か。人種差別の克服。あらゆる差別の克服。なかなか厳しい道のり。2013/01/23

芋煮うどん

5
久々の一気読み作品。20世紀前半のアメリカ南部での黒人の立ち位置がよくわかる。白人が黒人同士をけしかけてボクシング(けんかまがいの)をさせるいきさつなど、久々に心がひりついた。 多和田葉子さんの解説。マイケル・ジャクソンのくだりも秀逸。2023/03/27

大雪(おおゆき)

2
上・下巻を読み終わった。これは素晴らしい作品だった。できれば10代の頃に読みたかった気がする。南部の黒人少年が差別・貧困の苦杯をなめながらも、ある時、図書館で借りた批評家H・L・メンケンの本に感動。「言葉を武器にして戦う」メンケンの姿に主人公も心を動かされたのだ。また、当時、黒人は図書館で本を借りることができなかった(!)。アメリカ南部での黒人差別のすさまじさを垣間見た。主人公は南部をあとにして北部シカゴへ旅立つところで本作品は終わる。何かを賭けるようにして。2018/02/04

nowonme

2
生命力にあふれた記述が、涙が出るほど偉大である。私ももっと世界のことを知りたく、本を読みたく思った。本の世界にいつまでも浮遊してしまうあの若い感覚にもう一度戻ってみたい。数で老いは乗り越えられる。ひとまず、自分の内的世界にかかわるナイーブな感想。2016/09/28

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