岩波文庫<br> りんごの木/人生の小春日和

岩波文庫
りんごの木/人生の小春日和

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  • サイズ 文庫判/ページ数 239p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003226919
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

白く花咲くりんごの木.その下で互いの愛を誓いあった少女メガンの思い出にアシャーストの胸はうずく.帰らぬ若き日の愛のジレンマ『りんごの木』と,人生の晩年に初めておぼえたあやしいときめきを胸に,愛を求めてあせりもだえる老人の挽歌『人生の小春日和』.青春の愛と老年の愛とをロマンの香り高く描いた佳品二篇.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

34
佐藤優氏が『りんごの木』で主人公のエゴイズムについて糾弾していた読書案内からずっと気になっていた本でした。確かにアーシャストは酷い奴だった・・・。アーシャストはメガン達親子をジプシーと蔑む友人を軽蔑していたけどアーシャストの方が人間的に酷すぎる。メガンの仕草や言動が可愛いだけに猶更。最後で今まで忘れていたくせに「メガンは自分への操を守ったのだ」と腑に落ちる辺りに男のエゴイズムを感じて殴りたいです。『人生の小春日和』は我儘老人の老いらくの恋のラストが抒情的で心に残っています。2013/10/28

歩月るな

11
『りんごの木』『人生の小春日和』共に、徐々に迫り来る「向こう側」の感覚、それを垣間見てしまうことが言うに場面が切り替わる物語らしい物語に仕上がっている。「向こう側」の描写とは前者での物語の下敷きたるギリシャ神話にくわえジプシーの幽霊、パンやニンフの住む空間、溺れかけた友人を救った後に襲い来る現実感、階級意識に至るまで、ひどく暗鬱である。ステラの妹たちとの血の契約の描写も捨て難い。後者は、アイリーンが未だに亡きボシニーを思い続けている段に辺り、おじ様は彼の霊の気配を感じ、幻覚まで見る。恐怖を内包した叙情。2017/05/18

きりぱい

10
若いころの恋を悔いるか、老いのきわの恋に心を焦がすか、2人の主人公とも好きにはなれないけれど、前者はままならない感情が見せる結末に浸り、後者は叙情ある終わり方に、ああ、人生の小春日和だった・・と。(追記:小春日和は『フォーサイト家物語』の一部でした。短編として読んだ時と印象が変わります)2010/01/31

えんどうまめ

8
「りんごの木」「人生の小春日和」ともに、男の心情を実によく表していますね。気移りがちで、どっちづかずで、妙な正義漢ぶって、はまったら何も見えなくなって。そんなところがすごく嫌いだし、それなのにそうなってしまうことにすごく嫌気がさす感じ。ほんとに良く書けてるぶんなおさらげっそりです。男ってやだなぁ(笑)2014/12/15

はる

7
ゴールズワージー人生の小春日和をずっと以前より読みたいと思っていた。彼の作品は訳出が少ない。小春日和は彼のフォーサイト家物語の中段以降の3代目ジュリオンの老境と生命を細やかに描いた作品だ。フォーサイト家はその後4代目ジュリオンと、この小説の女性アイリーンへと引き継がれるが、3代目がのし上がってきたロンドンブルジョアとしての目や一人の85歳の黄昏を覚える目を通した、生命への深い思いを美しく描いている。林檎の樹は若かさに思い上がるブルジョア青年の回顧をギリシア悲劇に載せて描いている。後書きもとても好い。2023/12/31

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