岩波文庫<br> 西欧人の眼に〈上〉

岩波文庫
西欧人の眼に〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 335p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003224847
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

天涯孤独のまじめな大学生ラズーモフは,ある日とんでもない事件に巻込まれてしまう.恐怖と絶望に駆られた彼は….圧制下のロシアと国際都市ジュネーヴを舞台に,西欧人には不可解な「ロシアの心」を垣間見る.(全2冊)

内容説明

親もきょうだいもない、孤独な身の上の大学生ラズーモフは、何とか自力で身を立てようと勉学に励んでいた。ある日下宿に帰った彼は、思いも寄らない事態に巻込まれたことを知って驚愕する―恐怖、苦悩、絶望、怒り、そして裏切り。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

296
西欧人の対極にあるものとしては、伝統的にはオリエント(東洋)世界であったと思う。ところが、ここで西欧に対置されるのはロシアである。コンラッドは、もともとがロシアのキエフの生まれでもあり、またロシア語も堪能であった(ちなみにポーランド語やフランス語、そしてもちろん英語)彼にとってのロシアは、英語で小説を書くことによって相対化される必要があったのだろう。すなわち、様々な意味においてロシアとは何か、という問いである。物語は革命前夜のザンクト・ペテルブルクに始まる。第1部は、ほとんどロシア小説の世界であるが⇒2017/12/08

ケイ

99
今は下巻を半分まで読んだところで、作者はコンラッドと知っていても、ロシア小説を読んでいる気分だ。読みやすく、登場人物の名前でつまずかないドストエフスキーという印象。感想は下巻に。2016/02/11

セウテス

79
ドストエフスキー「罪と罰」を読んだ読者は、きっとコンラッドがかなり意識して描いた作品だと感じるだろう。スイスのジュネーブ、サンクトペテルブルク大学に通う哲学科生のラズーモフは、学友たちから信頼されていた。ある日友人のハルディンが、国務大臣暗殺というテロを起こす。ハルディンはラズーモフならば助けてくれると頼るのだが、彼はハルディンを当局へと引き渡す。彼の葛藤や恐怖、心の叫びを描きながら、西欧人から見たロシア人の秩序感の違いを表していると思う。違いの間で悩む事は結論が在るとは限らず、もう遠慮したい気分になる。2019/02/14

NAO

67
人好きのするハンサムで、孤独であるためか口数が少なく、かなり聞き上手。そういった彼がその話相手の考えを是認していたかというと、それはまた別の問題である。だが、革命分子たちは、「彼こそは信用のおける人物」であると思い込む。ロシア的な人物とはドストエフスキーの作品の登場人物たちのようにとんでもないおしゃべりばかりというイメージに対抗するかのような無口な主人公を設定しながら、話そのものはかなりドストエフスキーっぽい。2018/01/23

白義

18
裏「罪と罰」、コンラッドによるドストエフスキーパロディという表現がふさわしい。無口だから周りに過度に信頼されているというハーレムラブコメのような主人公ラズーモフが、革命家の友人に犯罪を打ち明けられたことからあれよあれよという間に退引きならない状況に追い込まれていく。心中で激しく周りに突っ込みを入れるラズーモフに対し、語り部含め他の登場人物が総出でボケをかまし、それに対しキレたらさらに誤解されて、と爆笑もののドタバタっぷり。圧制と革命という重厚なテーマを描きながらにしてこの愉快さである2013/05/21

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