岩波文庫<br> 心 - 日本の内面生活の暗示と影響

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岩波文庫
心 - 日本の内面生活の暗示と影響

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  • サイズ 文庫判/ページ数 322p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003224427
  • NDC分類 934
  • Cコード C0101

出版社内容情報

わが国をおとずれた外国人の中で,ハーンほど日本を理解し,また愛した人はないだろう.『骨董』や『怪談』の淋しい美しさにもまして,この『心』はわれわれが,うかつに見逃している身のまわりのことから,思いがけない深遠な思索のいとぐちを教えてくれる.小説,随筆,論文の要素が渾然一体となっているハーンの代表作.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あーびん

29
ハーンはほんとうに日本を愛していたんだなぁ。明治の日本を異国出身の著者の目を通して追体験するのだが、その西洋批判と日本賛美の饒舌にはわずか一世紀あとの時代を生きる我々には面映ゆいものがある。彼の絶賛する、篤く神仏や先祖を敬う宗教心と高い精神性をもつ情緒豊かな愛すべき日本人は現代では幻想のような美しさだからだ。『怪談』は日本文化に向ける愛情と深い理解がなければ成り立たなかったことをジャーナリストでもある著者の洞察力にあらためて感じ入る。2020/06/09

マリリン

20
ハーンが綴る当時の日本には、記憶の奥底にある今では殆ど忘れられたような情景があった。「旅日記から」では心の中で当時の空気を心地よく感じたが、煩雑な世の中に生きるからこそなのだろうか。 「神々の終焉」「前世の概念」や「先祖崇拝の思想」などは大変興味深く読んだ。「戦後」記された当時のラッパ(楽譜)のメロディに哀愁を感じる。やはり人は魂の集合体なのだろうか。2018/02/27

Kawai Hideki

18
FB友のススメで拝読。ラフカディオ・ハーンの見た明治の日本人の「心」。事件・風俗などのエッセイあり、社会経済的な予測あり、昔話や伝説的な人物伝あり、仏教や神道と西洋科学とのつながりを考察した哲学的小論文あり。時代は日清戦争の直後、ロシアとの関係が怪しくなり始めた頃。安価な労働力を売りに技術競争力を急速に発展させ、さしずめ現代の「インド」的な位置づけ。世界に向けた発展の裏側で失われつつあった、「私心を滅し、先祖を崇拝し、シンプルに生きる日本人」の姿を格調高い文章で遺してくれていて、こそばゆくもありがたい。2013/07/25

Sattomo4

16
小泉八雲ことラフカディオ・ハーンによる著書。1896年海外で出版され、1950年日本語に翻訳。外国人の視点から見た明治の日本を、小説、随筆、論文の要素を渾然一体化して示した短編集です。厳しい躾のもとに備わる胆力。そし自分を抑え他人を慮る真心に涙が滲む。個人的には『ある保守主義者』がお気に入りで、主人公(モデルは雨森信成さんとのコト)を通して 真の日本人の強さを垣間見た気がします。全体的に感銘を受けたので思わず2度読みしてしまいました。2019/11/21

壱萬弐仟縁

13
1896年初出。「日本文化の神髄」の章(15頁~)。「人間一個人の感情というものは、世の識者も知るごとく、教育によってこれを改変することはできないものなのである」(17頁)。自分で悟る以外にない。ただ教師はそのきっかけを与えるのみだ。そんな感じに思える。西欧人は永存のために家を建てるが、日本人は一時しのぎのために建てる(25頁)。そうだな。有為転変の日本列島という性質に気付いている(28頁)。日本人は流動性が高い(32頁)。「旅日記から」では小高い場所までの途中の道や、石段が美しいという(56頁)。然り。2013/08/14

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