出版社内容情報
現代アイルランドを代表する作家の1人で,独立運動にも奔走したオフェイロン(1900-91)が,アイルランドの精神史を論じたエッセイ.アイルランドの歴史を1本の樹木にたとえ,古代ケルトの神話から現代の独立運動まで,その歴史と風土を文明史の視点から多面的に描きだした精神史的考察.アイルランドに関する基本文献.
内容説明
アイルランドの歴史を一本の樹木にたとえ、古代ケルトの神話から現代の独立運動まで、その歴史と風土を文明史の視点から多面的に描きだした精神史的考察。現代アイルランドを代表する作家オフェイロン(一九〇〇‐九一)の手になるアイルランドの基本文献。本邦初訳。
目次
第1部 根(ケルト人とは?;偉大な神々の死;詩人たちの世界 ほか)
第2部 幹(基本的対立;ノルマン人の贈物;宗教的対立)
第3部 六つの枝(新農民;アングロ・アイリッシュ(英国系アイルランド人)
反逆者 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
泉を乱す
12
事情があって来年の夏までには必ず数回は行くことになるので読んだ。そもそもとても個人的に興味がある国。なので渡航はわくわくしている。ギネスはうまいし。2023/07/01
のれん
6
精神史、民族が持つ内面の本音を書いたものであり、発展書である。このレベルが文庫になる(しかも所謂大国レベルでないのに)というのは読者としては喜ばしいもの。 本文はWWⅡ後に書かれたのを改訂したもので、二千年以上の歴史を踏まえながらアイルランドの劣等感を掘り出している。それは丁度日本人がふと自分たちの文化が中華や西洋文化の寄せ集めでしかないのでは、と感じる思いに似ている。 著者が作家ということもあるのか、ジョイスとイェイツの紹介、詩のチョイスは申し分ないものがある。文学の国と呼ばれるのも納得できるはず。2019/05/17
あかつや
5
古代ケルトから現代までの歴史と風土から見るアイルランドの精神史。アイルランドという国をそんなに知らないし、ちょっと行ってみたいな程度で特別な思い入れもない。IRAがおとなしくなってからは国際ニュースでもあんまり取り上げられないし。でもジョイスとかイェイツとか妖精とかロイ・キーンとかコナー・マクレガーとか、この国から出てくるアイルランド的なものには魅了されるんだよなあ。この本を読んだからってそれらがどこから出てくるのかわかるわけじゃないけど、ああそういう流れの中にいるのねっていうのは何となくつかめたかな。2020/09/29
刳森伸一
4
アイルランドの精神史。政治史ではないが、政治史の知識があった方が良いと思う。政治史をネットで調べながら読んだが、古代史(神話)や文化(作家)などもとからソコソコ知っている項目以外は理解できたとはいえない。知識を増やしてから再読したい。2017/10/11
涼織瑞樹
4
マビノギオンの独自研究の資料の一つとして。特に民族の移り変わり等はかなり参考になったがある程度アイルランドに対する予備知識がなければ理解出来ない点が多いのでアイルランドの民俗学の入門としてはオススメ出来ないと思います。2012/03/01