岩波文庫
ソポクレス コロノスのオイディプス

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  • サイズ 文庫判/ページ数 101p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003210536
  • NDC分類 991
  • Cコード C0198

出版社内容情報

『オイディプス王』でわが目をつぶしたオイディプスの,その後の放浪の旅と父子の葛藤,神との和解を描く.人間の行動の正邪や,努力と無関係に行われる神々の意志,人知人力をこえた恐るべき運命に対し,屈伏することなく己れの道を歩むオイディプスのこの悲劇は,運命の底しれぬ恐しさと,人間の強さを考えさせずにはおかない.

内容説明

『オイディプス王』で我が目をつぶしたオイディプスの、その後の放浪の旅と父子の葛藤、神との和解を描く。人知人力をもってはいかんともしがたい運命、そしてそれを知りながらも屈服せずに我が道を歩むオイディプス。この悲劇は、運命の底知れぬ恐ろしさと、それに対する人間の強さというものを考えさせずにはおかない。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

175
オイディプスのその後を描く。劇の時間の上からは『オイディプス3部作』の2番めにあたるが、書かれたのは最後のようだ。『オイディプス』では、神託に端を発し、父ライオスを殺し、母イオカステを妻とし、4人の子をなしたオイディプスの引き裂かれた悲劇が絶大な葛藤の中に描かれた。ここでは彼の零落し荒野を流浪する姿が描かれるが、もはや燃え尽きたオイディプスだ。コロスが神々を礼賛し、そしてオイディプスが神々と和解し救済される物語。これはソフォクレス晩年の境地だろうか。ただし、そこにあるのはドラマではなく、静かな祝祭である。2014/07/27

ケイ

129
オイディプスが自らの運命の恐ろしさに気づき、自分の眼を潰すところで終わる『オイディプス』。これは、オイディプスが盲のまま娘のアンティゴネーに助けられて放浪した末に辿り着いたアテネで迎える最後の日の話だ。前話では、オイディプスは運命に絡め取られただけで、本人は罪を犯そうとした訳では無いのにとその不条理さに苛立ったが、この巻ではやはり運命は逆らえないものなのだと、私もともにその運命の恐ろしさに震える想いがした。父の願い通り、優しい娘たち~妹たちかこの後はさらなる不幸に見舞われなければ良いのだが。2017/10/26

Tonex

32
ギリシャ悲劇『オイディプス王』の後日談。娘のアンディゴネに手を引かれ物乞いをしながら放浪する盲目のオイディプス。哀れな姿に思わず涙。しかし、話自体はなんだかよくわからない。▼NHK「100分de名著」のサイトによれば、淡々と運命を受け入れアテネを守る守護神へと変貌していくオイディプスの姿を描いた作品で、滅びゆく運命にあるアテネ市民に向け「運命を受け止めつつそれでも高貴に生きよ」というメッセージが込められているとのこと。もはや右肩上がりなど望めない成熟期を迎えた現代に生きる術が学べる、らしいです。2016/03/17

松本直哉

30
アンチゴネに手を引かれてとぼとぼ歩く盲目のオイディプスがコーデリアとリア王に重なって見える。彼の四人の子のうち、娘二人は父を気遣い寄り添うのに、息子二人は、まるで父の宿業を受け継ぐかのように、権力争いに明け暮れる。相討ちで二人とも死ぬであろうと父が息子にかける呪いは後日不幸にも成就するが、そこには、流血は自分の代でもう終りにしてほしいという願いがあっただろう。あえて自殺せず、自らを不具にしたうえで、最後に、まるで目が見えているかのように、進んで墓所に歩み入る姿には、静かな諦念が読み取れるように思った。2024/03/10

加納恭史

26
この本は「オイディプス王」の続編です。その物語では、知られざる自分の素性の発見と、それに伴う怒りと悲しみの激情に、己を忘れた結果、妃を死に追いやり、自分は我と我が手でわが眼をめしいとしたオイディプス王の物語でした。その続編のこの本では、彼は父の血を流した不浄の者として、国を追われが、その際に、彼の息子たちは父のためになんらの努力をせず、ただ傍観していた。年ごろの娘アンティゴネーは、放浪の旅に盲目の父の手を取り、乞食の生活のうちに父の世話をしつつ辛苦をともし、ついにアッティカのコロノスのとある神の杜に来る。2022/07/28

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