岩波文庫
アンティゴネー

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  • サイズ 文庫判/ページ数 102p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003210512
  • NDC分類 991
  • Cコード C0198

出版社内容情報

ソポクレースの悲劇三部作の一つ.テーバイの王オイディプス一家にまつわる悲惨な運命を描く.筋としては『オイディプス王』に続くもので,王女アンティゴネーは,王位を襲う兄弟の抗争に巻きこまれ,兄弟が互いに刺し違えて死んだあと,禁じられていたその埋葬の儀を行おうとして,王位にのぼった叔父クレオンの怒りにふれて死ぬ.

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

100
年代記的には『オイディプス』3部作の最後に位置するが初演はこれが最初であったらしい。その初演もなんと紀元前400年頃の事だ。テーバイの王オイディプスの娘という宿命を背負ったアンティゴネーの悲劇と、現テーバイの僭王クレオンの悲劇。ややもすると主題の分裂とも見えかねないが、その両者を含んで、テーバイの王国全体が崩壊していく壮大な悲劇と見ることもできる。しかし、その場合においてもアンティゴネーこそが、この劇の中軸を担うだろう。虚勢と予言の前に揺れ動くクレオンに対して、アンティゴネーにあるのは愛であったのだから。2013/05/25

Miyoshi Hirotaka

36
祖国に攻め入り、斃れた兄の埋葬を叔父である王に背き独りで行うアンティゴネー。「憎しみを共にするのではなく、愛を共にするよう生まれてきた」という気高さや「地上の王よりも神々が尊ぶことをするべき」という価値観は国家の法と家族愛の対立という着想をヘーゲルに与えた。一方で、近親相姦での出生に対する罪の意識、兄に対する近親愛という想像し難い設定はゲーテを悩ませた。人間の運命と葛藤の調和を目指した2500年前のギリシャ悲劇の黄金時代の作品。翻案、モチーフなど様々な形で現代作品にも利用されているヨーロッパ芸術の源流。2016/10/11

松本直哉

28
わきまえる女イスメネとは逆に反抗する男前のアンティゴネーが、王国の法を盾に断罪するクレオンに一歩も引かず、二人が丁々発止の応酬をかわす場面が圧巻。ジュディス・バトラーによればアンティゴネーの語源は「反=子孫 anti-generation」。彼女の反出生主義は、万世一系的なクレオンの王統への反逆という形であらわれ、実際に劇の終わりでは跡継ぎとなるべき人が次々と死んでいく。この世の法が不正義であるならばこの世は滅びるべきであり、天の法の支配する死の国にしか安息はない。オイディプスによる死の予言の成就。2022/03/30

棕櫚木庵

26
1/3) ずっと昔に読んだ作品だが,名高い『オイデプス王』より当時の私にはこちらの方が印象深かった.これを読む少し前,プラトン「エウチュプロン」--- 国法を犯した父を訴えるのと庇うのとでは,どちらが敬虔であるか --- を読んでいたためかもしれない.国法に従って兄の遺体を放置するのか,国法を冒してでも埋葬するのかという問題.アンティゴネが,野ざらしになっている兄の遺体に砂を播き水を注いで象徴的埋葬を行う場面が感動的だった.2022/04/11

マリリン

25
ゾロアスター教だったか、鳥葬というのがあるが、本書に出てくる刑罰の弔い禁止は酷い。背いたアンディゴネー。オイディプス王の時代では終わらなかった不条理な悲劇がここにもあった。ギリシャの英雄や女神たちの裏に潜む魔物をみたような気がした。ギリシャ神話は味わい深い。2018/07/10

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