出版社内容情報
下巻には,長短とりまぜて41篇の怪異譚を収める.わずか2ページ足らずの簡単な異聞の記録もあるが,筆者の手にかかると,現実にはありえない話も,一読,目に見えるような精彩を放つ.秀才の誉れ高かったにもかかわらず世俗的には不遇の一生をおくったと伝えられる筆者は,よほどの人間通であったに違いない.(全2冊)
内容説明
本書には、長短とりまぜて41篇の怪異譚を収める。わずか2ページ足らずの簡単な異聞の記録もあるが、筆者の手にかかると、現実にはありえない話も、一読、目に見えるような精彩を放つ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
68
下巻でも、牡丹好きの男と牡丹の花妖の美女との交情を描く『葛巾』、幽鬼の女性との余韻のある別れが印象に残る『双灯』など優麗で幻想的な作品が並びます。一方で、そのような霊妙な異界との交流を裏から透かして見るような、天の宮居に招待された男の物語『天宮』や、地獄の沙汰が賄賂によって左右される様を描いた、現実を風刺したような『席方平』などの作品もあって、そこから、結局「幻はすべて人が作り出すもの」という作者の声が聞こえてくるよう。その、現実と地続きになった夢幻の中から醸し出される人間の業と美をたっぷり愉しみました。2022/12/27
やいっち
42
聊斎とは、著者の号及び書斎の名。「聊斎志異」とは、聊斎が怪異を記すの意。日本で云えば、「今昔物語集」の本朝(日本)編に相当するか。というのも、浅学の吾輩、ふと、芥川らに影響を与えた「今昔物語」を連想せざるを得なかったのだ。というか、過日、福永武彦訳の「今昔物語」を読んだばかりで印象が強いせいもあるかもしれない。 というよりも、その印象があるから「聊斎志異」を手にしたのかもしれない。 2019/09/09
藤月はな(灯れ松明の火)
26
芥川龍之介の「酒虫」の元ネタ、登場。日本の幽霊がつつましやかで狐は悪さをするなら、中国の幽霊や狐は相手のために尽くすタイプ。さてバートン版「一千一夜物語」とこの本ならばどちらがよりエロティックなのでしょうか?2012/10/21
こよみ
15
東方の青娥娘々の元ネタが収録されているので読んだ こっちだと普通にいい人そうなのになんであんな性格になったんだろ あと大昔のDVこわい2014/11/27
がんもどき
10
長短さまざまな怪異話が書かれた本の下巻。狐や仙人、亡人が出てくるのは上巻と同じだが、ほかに生員(科挙に受かった人)や、花の精なんかも出てくる。それぞれの人の動き方を見て、過去の中国人の心のありようがわかるように思う。生員が多いのは作者の生活が反映されているんだろうとも感じる。短編作家はアイデア出しに苦労すると聞いたことがあるが、これだけの話を考え出す作者の頭に感心した。2022/12/31