岩波文庫<br> 結婚狂詩曲―囲城〈下〉

岩波文庫
結婚狂詩曲―囲城〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 290p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784003203729
  • NDC分類 923.7

出版社内容情報

遊びにばかり身が入って学問の方はさっぱりという我らが主人公,懐は淋しくなる,日本と戦争が始まるはで欧州留学をきりあげ祖国中国へ…….漱石の『猫』を思わせる諷刺と諧謔で語られるその恋愛と結婚と破綻の物語を通して見えてくるのは,伝統中国に包囲された絶望的な近代中国の姿だった.既成概念をうち破る中国現代小説.

内容説明

この小説の刊行は1946年、作者(1910‐)36歳のときで、人民中国成立の前夜という激動のさなかだった。その後ほぼ30年間も禁書同然のあつかいをうけた。米仏独露語の翻訳が出るなどむしろ海外でその名を知られ評価が高いのも現代中国文学に占めるこの作品の特異な位置と性格をよく物語っている。本邦初訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はと

12
意外とユーモラスな作品が少なくない中国文学だけど、この作品は特別ふんだんな比喩とユーモアにあふれている。しかも、発表されたのが1946年というから驚き。1949年の中華人民共和国成立後30年ほどは禁書状態だったという。解説に、「国中が挙げて抗日戦争を戦っている最中を舞台にこんなふざけた小説を書くとは何事か」と思われたのだろうと書かれていたが、そのとおりだろう。発表されたこの作品を読んだ偉い人たちがきっと苦虫を噛み潰したような顔をしただろうと思うと、この本の発表自体がユーモアのように感じる。2014/03/29

yuki

2
大学の講師として赴任した方鴻漸が、色々あって大学を去るまでが前半。結婚して故郷に帰ったものの、互いの実家との軋轢などからあっという間に結婚生活が破綻する様子が描かれるのが後半。悪口悪意の応酬が延々続いてうんざりするところもあるけれど、どことなくユーモアが感じられるところもあり、因習にうんざりする姿などは結構共感も持てる。2017/08/22

勉誠出版営業部

1
銭鍾書の『結婚狂詩曲(下)』を読了。上巻に比べると、とっちらかした感じが少なくなって、当時の教育や結婚、ひいては社会制度に対する皮肉めいたものを感じる。2013/07/17

掬水

0
上巻までは留学先で学をサボり通し帰郷の間際に体面を保つために金で偽の学位を手に入れ故郷に錦を飾った挙句、新設大学の教授として招聘された主人公の珍道中をユーモラスに描いた作品だと思っていた。しかし、下巻ことに終章まで読み進めると単なる諧謔小説とは異なるとの印象を持つようになった。特に今まで笑い飛ばすために描かれてきた旧世代と新世代との確執が主人公に全て跳ね返り破滅に追い込まれる結末などは笑い飛ばそうにも笑い飛ばせず、ただただ苦笑いするほかなかった。2022/05/14

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