出版社内容情報
本書は中国短篇小説の傑作集たる,「古今奇観」(宋元以来の傑作40篇を収めたもの)の翻訳.市井の情事とこれに対する作者の倫理観とを巧みに織りまぜ,その構想の雄渾はよく訳文の流麗と相俟って,はやくから知られ,江戸文学の母胎をなした.中国小説稗史伝説などの代表作物の一般を知るに好個の良著.
感想・レビュー
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brink
2
中国の明時代の短編小説集。全40編ほどから3編のみ収録の抄訳だそう。訳が古いというか江戸時代の翻訳のため、漢文混じりの古文といった感じで少々とっつきにくかったです。そんなこんなで退屈かと思ったですが、油売り青年と花魁美女の話とか「それは普通、百年の恋も冷めるのでは」的な展開で意外と面白く読めました。2010/08/23
あにこ
0
明末のころのごく短い支那小説を文語で訳したようなもの。 何分、近世の版に基づいているので訳の間違いは多々あるようだが、注釈が充実しているので全く問題なく楽しめた。■■三編の内、「賣油郎獨占花魁」は傑作と思う。登場人物たちがみなイキイキと描かれているが、その人間くささが、いかにも‘中国的’に思われる。したたかで、感情表現豊かで、善人悪人両者ともどこか憎めない人懐こさがある。話の筋も陳腐といえば陳腐であるが、個人的に好みだった。2019/06/06