出版社内容情報
恐らくは一生魯迅の意中を駆け廻ったに違いない痛罵や皮肉や悲しみを,中国の神話・伝説・史書からの題材に仮託して書かれたもの.「天を補修する話」「わらびを採る話」「剣を鍛える話」他五篇より成る.喜劇的諷刺的内容の濃いこれらの昔物語は,また我々にも,時に深刻な,時ににやりとした感情を催させずにはおかない.
内容説明
あそらくは一生魯迅(1881‐1936)の意中を駆けまわったにちがいない痛罵や皮肉や悲しみを、中国の神話・伝説・史書からの題材に仮託して書かれたもの。『天を補修する話』『わらびを採る話』『剣を鍛える話』他5篇より成る。喜劇的諷刺的内容の濃いこれらの昔物語は、またわれわれにも、時に深刻な、時にユーモラスな感情を起こさせずにはおかない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
13
冒頭の「天を補修する話」では、色彩描写が印象的。ピンク色の空。緑の縞模様の雲。赤い雲の間に太陽。白い月。まるで、ラスキンや藤村の雲の研究のようだ。2014/01/20
のんたん
5
中国版古事記もしくは風土記のような、想像以上に物語的要素が強くて、思ったより読みやすかった。伯夷叔斉の「わらびを採る話」では、伯夷も叔斉もとても聖人とは思えない普通の年寄として描かれていて、読んでいて笑ってしまうほど。本の枚数は多くはないが、訳注と合わせて読むと結構内容も濃く、より理解が深まっていいと思う。2016/10/08
Mark.jr
4
言わずもがな近現代中国文学の祖の一人・魯迅ですが、実は中国の伝説・怪奇作品の収集・研究家でもあることは、あまり知られていないかもしれません。本書はそんな研究家としての側面が強く出たもので、のっけから女神が空を修理する話など、その手の伝奇ものが好きな人にはたまらない一冊だと思います。2023/01/24
刳森伸一
3
中国の故事を題材にした魯迅の短篇集。残念ながら中国の故事には疎いので、元の素材をどのように料理したのか分からないところも多く、この本の面白さを堪能できたとはいえないが、それでも魯迅の語りの巧みさやユーモアに楽しみながら読めた。個人的には「剣を鍛える話」と「戦争をやめさせる話」が特に印象に残る。2019/12/01
N-Megu
3
(無教養のため)武田泰淳の解説がなければ即死だった、と思いました。2012/10/08