出版社内容情報
魏・呉・蜀三国対立時代の中国.変転きわまりない局面のなかで,劉備・関羽・張飛の義兄弟と師孔明,あい対する曹操・曹丕の親子,また孫権など,知力と武勇のかぎりをつくして戦う英雄豪傑たち.そしてついに晋に統一されるまでを描いた一大ロマン.気品ある清麗な名訳に北斎門下の鬼才葛飾載斗の版画を多数加えた完訳決定版.
内容説明
曹操の策略に落ち入り、さしもの豪傑関羽も落命。だが曹操の夢には夜毎に関羽が現れ病篤く、跡を曹丕に托して死を迎える。張飛は部下の恨みを買って寝首をかかれ、劉備もまた二弟の亡霊が自分を招いているのを見て、死の近いことをさとるのだった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
54
関羽は呉軍に捕らえられ殺害されたが、孫権だけでなく曹操をも脅かす。毎夜関羽が夢に現れて曹操は死亡するし、関羽の弔い合戦を焦る張飛は部下の恨みをかって殺されてしまい、と、関羽の死の影響は計り知れない。死期を悟った劉備が、息子に才能がないなら自ら蜀王になるよう孔明に言って亡くなったのは、息子に才覚がないことを誰よりもよく知っていたからだろう。
優希
35
曹操が病に倒れ、孔明が暗躍する。世代交代が見えるようです2024/01/18
qoop
5
それぞれの性格的な短所が際立つ形で死を迎える劉備、関羽、張飛。関羽と張飛は物語序盤から書かれてきたいわば生涯通じての欠点ゆえだが、劉備の死はむしろ半ば美点として扱われてきた(のだろう、多分。僕は歯痒さを覚えることの方が多かったけれど)義理堅さが老齢とともに意固地さに変わ理、大局を見る目が損なわれてしまったため。立場が違えば求められるものが違う。老いの悲しさをこれほど伝える展開もなかなかないのではないか。関羽没後を書いたエピソードと対照的なリアルさだな。2020/03/26
よしひろ
4
あくなき戦いの連続。2016/03/29
ZEPPELIN
3
桃園の三兄弟が去り、曹操も去り、面白さの急激な低下が残念な第6巻。死後の関羽が悪霊となって呂蒙を呪ってみたり、武神だったのに現在の中国では商売の神とされていたり、この扱いを本人は喜んでいるんだろうか。武人は武人のままでいいのに。著書の蜀に対する思い入れが強すぎて、逆に蜀の人物がヘンテコになっているという気がしなくもない。終盤の孔明と孟獲の鬼ごっこ七番勝負は、いつ読んでも全く楽しめず、この先を読むには忍耐あるのみ2015/03/13