出版社内容情報
魏・呉・蜀三国対立時代の中国.変転きわまりない局面のなかで,劉備・関羽・張飛の義兄弟と師孔明,あい対する曹操・曹丕の親子,また孫権など,知力と武勇のかぎりをつくして戦う英雄豪傑たち.そしてついに晋に統一されるまでを描いた一大ロマン.気品ある清麗な名訳に北斎門下の鬼才葛飾載斗の版画を多数加えた完訳決定版.
内容説明
鬼神不測の術をもつ諸葛孔明は、七星壇を築いて東風を祈り、孫権と劉備の率いる呉・蜀連合軍は、折から吹き出した風に乗じ火攻めによって曹操の水軍を焼き払う。これぞ赤壁の戦いである。敗走に敗走を重ねた曹操は、関羽の義にすがって逃げのびた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
58
長江を舞台に対峙する、劉備+孫権軍と曹操軍。霧の夜孔明が曹操軍から多くの矢を奪ったエピソードに始まり、赤壁の戦いへ。この巻は、『三国志』最大の盛り上がりをみせる。孔明の聡明さと、彼の策略に踊らされる周瑜や曹操の対比がなんともいえない。孫権の妹との結婚話でおびき寄せて劉備を殺害しようとの呉の策略も、孔明にあっさり見破られてしまう。孔明は、天文だけでなく人の性格をも見事に読み解いていた。2020/04/02
優希
36
赤壁の戦いでの孔明の才が見て取れました。戦いは盛り上がり、引き込まれます。ここで丁度折り返しですね。2024/01/18
よしひろ
7
中国水軍の戦いは、大河という地理的要因や気候の諸条件を巧みに勘案し、作戦を練ることの重要性を教えてくれる。2016/03/25
qoop
5
赤壁の戦いは孔明の天才軍師ぶりを伝える挿話なのかと思っていたが、だいぶ印象が違った。全体に孔明の描写は神話/伝説的でリアルさが薄く、知恵者というより神仙の趣き。こういう形でキャラを立てているのかと意外な感と納得の両方を感じた。常人を超えた才とは即ち、神に近づくということなのだろう。時代とともに築かれたイメージを史実に当てはめるとこうなるのだな、と。2020/03/23
ZEPPELIN
3
諸葛亮による周瑜イジメの巻。この時期は超能力者みたいなことをやっといて、なぜ後の北伐では見事に失敗したのか、全く意味が分からない。呉の動きが読めるなら、馬謖の動きも読めたでしょうに。作者も、蜀を持ち上げるフリをして盛大にバカにしているとしか思えなくなってくる。もっと可哀想なのはその諸葛亮と周瑜に挟まれた魯粛。こちらの方がストレスで体調を崩しそうなのに、先に逝くのは周瑜。全体的に扱いが悪い呉の中で、周瑜は特に悲惨である2015/02/20