岩波文庫
吉田一穂詩集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 282p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003117217
  • NDC分類 911.56
  • Cコード C0192

出版社内容情報

「あゝ麗はしい距離(デスタンス),/つねに遠のいてゆく風景…」(「母」)―感傷の吐露を嫌い,知性の力で極限まで研ぎ澄ました〈極北の〉詩を標榜する〈海と望郷の詩人〉吉田一穂(1898―1973).そのオリジナルな詩世界を凝縮した一冊.

内容説明

「あゝ麗はしい距離、/つねに遠のいてゆく風景…」(「母」)―感傷の吐露を嫌い、知性の力で極限まで表現を研ぎ澄ました〈極北の詩〉を理想とする“孤高の詩人”吉田一穂(1898‐1973)。“海と望郷の詩人”の代表的な詩を網羅し、「望郷は珠の如きものだ…」で始まる「海の思想」等の随想も加えた、文庫決定版詩集。

目次

薔薇篇(母;曙 ほか)
暗星系(天隕;洪水前 ほか)
故園の書(故園の書;空 ほか)
拾遺(夜の座;みるめ・かぐはな ほか)
随想(『海の聖母』に就て;『海の聖母』のこと ほか)
付録(『海の聖母』の「叙次」;『稗子伝』の「跋」 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

100
研ぎ澄まされた表現が硬質の詩情を生み出す素晴らしい詩集。湿り気を帯びた多くの日本の詩とは正反対の幾何学的な美を感じる。湿り気を帯びた日本の詩もそれはそれで素晴らしいのだが、吉田一穂のそれを乗り越えようとする強い意志に、身震いするような感動を覚えた。これは彼の生まれも関係していると思う。北海道に生まれて海を絶えず眺め、トラピスト修道院の鐘を聞きながら育てば、内地とは異なった感性を持つようになるはずだ。多くの傑作の中から一つ選ぶとすると「白鳥」。強靱な精神から生み出された言葉が眩いほどの輝きを放っている→2016/10/02

へくとぱすかる

23
難解な言葉の連続に、読み通すのがやっとという作品がほとんど。いわゆる抒情詩とはちがった言葉の世界に、「極北の詩」と呼ばれたりする理由がよくわかる。あまりに有名な「母」は冒頭の詩だが、実はこれが最もわかりやすい作品だった。後半の散文詩には、「母」に始まる短詩からは想像もしていなかった激しい言葉が並んでいて、吉田一穂という詩人の全体像を、ほとんど知らなかったことが、はじめてわかった。編集の都合かもしれないが、時代背景を知りたいので、個々の作品がどの詩集から採られたか、わかるような配列だったら、と思った。2014/09/01

みねたか

15
冒頭の4行詩「母」は広がりがありすごい。ただ詩は全般に難解な言い回しが多く,なかなか入り込めない。そんな中,「石と魚」~猟人日記~の硬質な美しさにはひかれた。また,一族と自らの来し方をかたった随筆?「海の思想」。詩作への決意について「この誓約は何等,生計を助けるに役立つものではなかったが,いまだに悔いない。生死の外に問題なく,詩は生きることであり,個とは表現であることを見い出して,後年を裏書きした。」というくだりは印象深い。しかし,全般に読者としての力量不足で消化不良は否めない。2016/06/02

双海(ふたみ)

12
「あゝ麗はしい距離、/つねに遠のいてゆく風景…」(「母」)―感傷の吐露を嫌い、知性の力で極限まで表現を研ぎ澄ました〈極北の詩〉を理想とする“孤高の詩人”吉田一穂(1898‐1973)。“海と望郷の詩人”の代表的な詩を網羅し、「望郷は珠の如きものだ…」で始まる「海の思想」等の随想も加えた、文庫決定版詩集。 (カバーより)2014/05/02

noémi

8
「母」という詩が絶品なので、ぜひ手元に置いておきたくて購入したのだが、この人の詩はマラルメの影響を受けているとか。とにかく、漢字が全く読めないのには難儀した。ルビぐらい打っておいてほしい。私はマラルメを読んだことがないので、印象としては確かにユイスマンの「さかしま」のあのごたごたとした言葉のイメージを積み上げた、まさに象徴派っぽさがあったが、この「母」以外は感動できなかった。しかし、それでも、一生の中にこれほどまでの傑作がひとつ産み出せたのなら、それでもいいと思えるほど、「母」は素晴らしい。2014/12/01

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