岩波文庫
金子光晴詩集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 483p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003113219
  • NDC分類 911.56
  • Cコード C0192

出版社内容情報

日本の伝統や権力支配の構造を象徴的手法で暴露,批判した詩集『鮫』(一九三七)は,徹底したエゴイストで,一貫して「異邦人」でありつづけた金子光晴(一八九五‐一九七五)の本領が発揮された昭和詩史上最も重要な作品の一つである.代表作『こがね虫』『鮫』『蛾』『落下傘』『愛情69 』等から秀作を選び,その全体像に迫るアンソロジー.

内容説明

日本の伝統や権力支配の構造を象徴的手法で暴露、批判した詩集『鮫』(一九三七)は、詩人金子光晴(一八九五‐一九七五)の本領が発揮された昭和詩史上、最も重要な作品の一つである。『こがね虫』『鮫』『蛾』『愛情69』等から秀作を選び、その全体像に迫るアンソロジー。

目次

『こがね虫』から
『大腐爛頌』から
『水の流浪』から
『鱶沈む』から
『路傍の愛人』から
『老薔薇園』から
『鮫』(全)
『落下傘』から
『蛾』から
『女たちへのエレジー』から〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

70
反逆やオリエンタリズムを高らかに歌い上げた詩の数々、技巧を尽くした「大腐爛頌」や中国インドシナを植民地の偽善と旅情を共に歌った「鱶沈む」や「路傍の愛人」、そして面目躍如たる「鮫」。これらの詩の数々はまさに日本にあだたぬ異邦人の哀しみともいうべきものを高らかに歌い上げた傑作だと思う。前半はこれらの詩が惜しみなく紙上を覆い感嘆するばかり。ただ後半はいけません、反逆は何時しか完全に日常に埋もれてしまっている。特に「若葉のうた」とかもうね…日常の中にただ堕するのみ。やはり詩人の真価が表れるのは若き時ばかりなのか。2021/05/09

lily

37
「すべて、くさらないものはない!」虚無、孤独、生きづらさ、世界を漂流する心、だけど、あの瞬間のためだけに、男たちは、なんべんでも恋をする。死ぬことを確かめることは愉快な事、反対こそ生きてることで自分をつかむこと。湿った季節に湿った詩、心も皮膚も潤うなあ。2019/07/03

くまさん

25
 すべてに反対することを誓い、男女の根本的なすれ違いや満たされなさを歌い上げているのに、それが空虚に響くことがないのは、心のありかや限界そして「生きることは創だらけになるということ」をしかと見定めているからではないか。強さや無限をめざす必要はない。「弱さを弱さのままで育て上げる」ほうがすこやかだ。みずからの文章を死後も生き延びさせる望みほど苛烈な誘惑はないという。しかし「一度抜けたら生え替らないこの歯ぐきで人生を味わい通す望みがあるか、ないか」が問われる。炎天下で、垂氷の下で、地に足をつけることを学んだ。2018/09/09

無識者

10
高校の授業でオットセイを扱った印象が強く、たしか受験勉強をやっている学生がそのオットセイのようなものに思えてしまったのであった。今から見るとその事に全く後悔はないが、嫌いな受験勉強をしないための理由付けだったのかもしれない。あらためて詩集という形で読んでみて、もちろん戦中にかかれたものが気になりはしたが、新鮮だったのは「若葉の歌」である。老衰したおばあちゃんの立場から書くというものが、すごく現代的に感じた。2019/01/06

かみしの

9
僕の好きな歌人が、金子光晴の詩を「しゃばしゃばした感じ」と言っていたけれど、なんとなくわかる気がする。孤独が行きついてぎらぎらとしてる。みんな腐爛し、赤子の頭蓋はつぶされ、恋人のうんこになり、からっぽになるまでゆられゆられて、ぐちゃぐちゃの世界に金子光晴は生きていたのだろうか。2015/11/16

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