岩波文庫
評伝 正岡子規

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  • サイズ 文庫判/ページ数 333p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003110638
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

出版社内容情報

宵曲は,子規を仰ぎ見るのでもなく,またわが論理で縛るのでもなく,短歌・俳句・随筆等をもとに,ひたすら年代を追って描いて行く.こうして,客気溢れた青年がやがて病を得,病床六尺の空間に呻吟しながら確固たる世界を築き上げて死ぬまでを,われわれの前に現出させる筆者の腕前には感歎のほかはない. (解説 佐伯彰一)

内容説明

宵曲(1897‐1966)は、子規を仰ぎ見るのでもなく、またわが論理で縛るのでもなく、短歌・俳句・随筆等をもとに、ひたすら年代を追って描いてゆく。こうして、客気溢れた青年がやがて病を得、病床六尺の空間に呻吟しながら確固たる世界を築き上げて死ぬまでを、われわれの前に現出させる筆者の腕前には感歎のほかはない。

目次

自筆の墓誌
最初の詩「聞子規」
上京後の数年
向嶋生活―「七草集」
啼血三旬号子規
身辺に現れた人々
文学熱と野球
その後の俳句
「しゃくられの記」三篇
未発表の小説〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mikio

6
本書、子規の生涯を読み終え、唯唯、お疲れ様でした、としか言葉がない。脊椎カリエスおそるべし。「理が分ればあきらめつき可申、美が分れば楽み出来可申候」2022/05/29

壱萬弐仟縁

5
明治23-24年には、「桑の実の 木曾路出づれば 穂麦かな」(55ページ)。木曽の桑の実、奈良井の苗代茱萸(ぐみ)。病床にあったときに居士は、苦しむことは苦しんでも、病になされるがままではなかった。「おかしければ笑う。悲しければ泣く。しかし痛の烈しい時には仕様がないからうめくか、叫ぶか、泣くか、または黙ってこらえているかする。その中で黙ってこらえているのが一番苦しい。盛んにわめき、盛んに叫び、盛んに泣くと少しく痛が減ずる」(289-90ページ)と嘆息している。病んだことのある人なら、共感できる部分である。2012/12/18

ポカホンタス

5
淡々と、しかし細やかな愛情を込めて書き継がれた評伝。読み応えがあった。冒頭の「孫悟空の如意棒」の喩えが最後に効いている。手練の技を感じる。子規の病跡を考える資料として読んだ。2010/11/24

iwasabi47

3
蓑とガラス戸。 「蓑」 子規庵に長く伝わったのはこの蓑で、(明治)三十二年に書いた「室内の什物」なる文章に「十年前房総に遊びし時のかたみなり。春の旅は菜の花に曇りていつしか雨の降りいでてたるに、宿を求めんには早く、傘買はんもおろかなり。いでや浮世をかくれ蓑著んとて、とある里にて購いたるが、着て見ればそぞろに嬉しくて、雨の中の岡の菫に寝ころびたるその蓑なり」(p.58) 「ガラス戸」 (明治)三十三年一月の『ホトトギス』に出た「ガラス障子にしたのは寒気を防ぐためが第一で、第二にはいながら外の景色を見るため→2021/03/22

feodor

3
編年体、というわけでもないけれども、年ごとに追っていく形の評伝。正直、『日本』と関わり始めるまではあまりおもしろくはない。とはいえ、以前読んだ虚子の子規についての思い出は、虚子が在松時で子規在京時の情報などはないわけで、その間にこうなっていたのか、など知る手だてではある。研究者ではないから、ふーんくらいなものだが。短歌の活動に入ってからがやはりおもしろく、古今攻撃など旧派に対する問題提起のあたりから読んでいてもおもしろい。万葉調重視、その一方で江戸期の万葉調重視の人々はさほど重視せずに、源実朝(鎌倉右大臣2010/03/06

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