出版社内容情報
晩年の短い期間に数多くの小説を書き残した岡本かの子(1889‐1939)の代表作3篇を収める.昔芸妓や妾をしてきた老女の普通の女と違う若やいだふんいきを描いた「老妓抄」をはじめ感性豊かなかの子の作品には,いずれも女のいのちの泉から咲き出た濃艶な花をみるような独特の世界がある.解説=吉田精一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
haruaki
13
美しい日本語とはこういう事だと思った。老妓抄に出てくる老妓の格好良いこと。独特で味わい深い比喩、1つ1つ重みのある言葉、凛と立つ潔い花の様な文章、時間の流れが持つ哀愁。旧漢字の纏う威厳のある空気感。すっかり陶酔させてもらった。人生に哀しみは避けて通れないけれど、それでもいのちは益々華やぐ。そんな言葉に背中を押され、生きていく力を少し込める。2017/06/05
ヒダン
9
短編集。他一篇は「東海道五十三次」でこれは読んだことがあった。一人称の小説で起伏は少ないが、私小説なのではないかと思うようなリアリティがこもっている。独特の雰囲気があって面白かった。2015/12/29