出版社内容情報
「藪柑子集」は,随筆作家として明治大正の文壇に特異の地位を占める吉村冬彦(寺田寅彦)の代表的作品集である.収むるところ「団栗」「竜舌蘭」「嵐」「森の絵」「枯菊の影」等の12篇,いずれもその新鮮で品位ある独自のスタイルと美しい燻銀の抒情詩の世界のうちに,多感にして憂鬱な青年芸術家の影像を彷彿する一巻である.解説=小宮豊隆
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
19
夏目漱石の師事に就いた科学者、寺田寅彦の随筆。復刻版なので題名が右から読みだったり、旧仮名が使われています。特に愛妻家でありながら二度も妻に先立たれた寅彦の心情を綴った「団栗」は銀鼠色の冬の空を眺めている時に感じる、どこか愛おしいけど、淋しくて仕方ない感じを味わいました・・・。2015/05/07
qoop
3
若い頃の寺田寅彦が筆名で書いた叙情的な随想集。痛み、哀しみ、寂しさ…青年らしい鬱々とした感情を鈍い色で描き出して行くような、そんな文章。寺田はこうしたリリカルさを備えていたのか、と(今更ながら、そして当然のことなのに)新鮮な驚きを感じた。こうした文学青年らしさを意識しつつ、寺田名義の科学エッセイを再読してみたくなった。2013/09/12
Bibliotheca
0
吉村冬彦って、寺田寅彦のことね。2013/10/10
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