出版社内容情報
現代社会を描きたい希望をもって東京へ出た文学青年小泉純一が,初志に反して伝説に取材した小説を書こうと決意するに至るまでの体験と知的発展を描く.作中に漱石,杢太郎,白鳥,鴎外自身などをモデルとした作家が登場する.鴎外(一八六二―一九二二)の歴史小説を理解する上に必読の作品.明治四十三四十四年作. (解説 唐木順三)
感想・レビュー
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ひろゆき
1
田舎から上京した文学志望の青年が筆をとるまでの二ヶ月の体験。作家たちとの邂逅、論議を通じての文学観の変転が一つの柱で、もう一つは女性との交際、ふれ合いが柱。その二つが合わさって、青年は祖母から聞いた伝説を書こうと決意する。美男の設定で、うらやましくも、またたくまに未亡人と関係を持ち苦悩、最後は幻滅に至るのが筋らし部分で、ほかは芸術論と脇役に登場するの女性達の観察描写が続くが、さすが鴎外、退屈しません2012/09/19
shishi
0
[A-]2009/08/21
agri
0
上京した文学青年の志の変遷2009/06/12